安藤 変わってきましたね。
有働 ほんの10年前までは、何かを犠牲にしないと仕事の第一線にはいられなかったのに、今は結婚して子どももいて幸せそうな人のほうが共感を得られる。「もっと早くルールを変えてよ。ふり回された」と思っちゃいました。
オッサンに同化してナンボ
安藤 メチャクチャよくわかります。言いたいことがありすぎて、どこから話していいかわからないんですが、結婚したときに……私、2回結婚しているんですけど(笑)。
有働 うらやましい。
安藤 いえいえ。そう、結婚したときに「これで安藤さんも丸くなるな」って言われたんです。それがすっごい嫌で、「絶対丸くなってやるものか。ますますとんがってやろう!」と思ったんです。
有働 (笑)
安藤 私たちの時代は、オッサンに“同化”して、その10倍20倍働いてナンボでした。女性性を封印しないと、オッサンは自分たちの仲間として認めてくれない。オッサンのように振る舞い、オッサンのように仕事をすることで、ようやく居場所をこじ開けることができました。
有働 だから「丸くなる」と言われて反発されたんですね。
安藤 そう。その言葉が私には「あいつもようやく俺たちの軍門にくだったか。これで女に戻るだろう」という風に聞こえたわけです。
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「文藝春秋」2月号および「文藝春秋 電子版」掲載の10ページにおよぶ対談「だからニュースキャスターはやめられない」には、昨夏、ネット炎上した酷暑のニュースを現場から伝えるレポーターとのやり取りの舞台裏、有働さんが安藤さんに聞く「結婚のコツ」、生放送への覚悟やこれまでもっとも印象的だったインタビュー相手、そして政界進出の可能性についてなどが余すところなく語られている。
だからニュースキャスターはやめられない