『M-1』を見ていて、やっぱりちょっとうらやましい
——『THE W』が始まった時に、女だけの大会は性差別じゃないか、みたいな言われ方もされていたと思います。もちろん『THE W』という大会は、女性芸人を励ますために始まったものであって、性差別を助長するものでは全くない。そうなると、この大会の最終的なゴールはどこにあるんだろうとも思うんです。「女性芸人」ではなく「芸人」という呼び方がしっくりくる世界が求められるようになると、『THE W』は存在意義を問われはしないか。『THE W』って、とても複雑なものを背負っているんじゃないかなと。
宮本 難しいですね……ただ、我々にとっては、視聴者みんなが見たがる大会であり、芸人さんたちにとっては出たい番組になってほしいということだけです。
『M-1』を見ていて、やっぱりちょっとうらやましいんですよ。よくも悪くもすごく話題になるじゃないですか。今回のマヂカルラブリーさんの、漫才か漫才じゃないか、みたいなことも含めて、国民の関心事になっている。
そういうような大きな番組になれば、見ているほうも楽しいでしょうし、出る芸人さんにとってもすごくモチベーションの高い番組になるのかなと思いますね。あとは、女性ならではの発想の面白さをネタの中に感じることもあるので、そういうネタが埋もれずに日の目を見るのも『THE W』の良さだと思います。
女性芸人同士の関係性を作る場所にもなれたら
——女性ならではのネタの面白さ。
宮本 去年優勝した吉住さんのネタも、なかなか男性だと発想しにくいネタだと思う。そして、何より出場者同士がすごく和気あいあいとしているのも、この大会ならではだと思うんですよね。コンテストなんですけど、その辺がちょっと他の大会と違う感じがします。
——バチバチやギスギスではなく。
宮本 去年から楽屋をみんな一緒の大部屋にしたんです。もちろん感染対策には万全を期しつつ。以前はライバル同士あんまり一緒にいたくないのかなと思って1組ずつ楽屋を別にしていたんですけど、大部屋の方が意外とみんな和気あいあいとして、そのほうが緊張感もほぐれるみたいで。
本番まで和気あいあいと喋って、うまく緊張をコントロールしていたり、これから優勝者を決める大会なんだけど、みんなフレンドリーでいいなと思いました。終わった後もなかなか帰りたがらないくらい(笑)。
——そうか、『THE W』は女性の大会であるのと同時に、女性芸人同士の関係性も作っているんですね。それは以前のインタビューでAマッソの加納さんが「うちらに足りないもの」と言っていたことかもしれない。
宮本 それもありますね。イベント後に懇親会を毎回やって、そこで「じゃあ、今度ユニットを組もう」みたいな話にもなったり、そういう交流の場所にもなっていたかなという気がします。そうやって女性芸人さんたちからもっともっとおもしろい流れが生まれたら、そこに『THE W』の存在意義はあると思うんです。