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医者の善意だけに頼るだけでは限界がある

 基本的には医者は誰でも患者を救いたいという思いが第一にあります。医師は大学入学時に医学部という一種の専門学校に入って医学部教育をされてきています。その医学部教育で『パンデミックなどで医療危機が起こった際には経済的な問題は別にして、患者さんを助けなきゃいけない』という利他的な意識を徹底的に植え付けられています。『コロナなんて関係ない』という開業医がいるというのは、ちょっと信じられない現実です。

©iStock.com

 でも、仮に自分がコロナの疑いのある患者を診ることで、逆に自分が感染して、感染を広げることになってしまったら……。それがかえって周りに迷惑をかけることになったり、物事を悪化させてしまうかもしれない。そんなジレンマはあります。日々、そうした葛藤と戦っているのが、多くの開業医の現実ではないでしょうか。本来だったら国がもっと音頭をとって抜本的に医療の仕組みを変えていかないとコロナには対応できない。『命を救いたい』という医者の善意だけに頼るだけでは限界があります」

 そう言うとA氏は静かにため息をついた――。

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菅首相は「しっかりと支援」と言っているが……

 菅義偉首相は2月2日の記者会見で「重症者をはじめ、必要な方が適切な医療をきちんと受けることができるよう、医療体制の確保にも全力を挙げてまいります。現場の方々が財政面で躊躇することのないよう、また新型コロナ患者を受け入れる医療機関が損失を被ることのないよう、しっかりと支援してまいります」と述べたが、コロナをめぐる医療関係者たちの嘆きは深く切実である。

菅総理 ©AFLO

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