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 こうした方針もあってか、佐藤が仲介した40組近い夫婦の間では、過去14年間大きなトラブルは起きていないという。

 佐藤の方針は中国人妻と日本人夫の意識のズレを、残留孤児問題を通して体験的に認識していたから生まれたものなのだろう。

「こんな人嫌!」相手は13歳年上の日本人男性

 佐藤の取材の折、彼が仲介したという何人かの中国人妻たちにも会うことができた。

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 もちろん佐藤の紹介だから、来日後の生活が比較的うまくいっている中国人妻たちであろうことは想像できる。

 そのひとり、当時、結婚14年目(つまり佐藤の仲介による最古参)だという緒方明子(42歳=仮名)は流暢な日本語で「結婚前は、日本人などまったく興味がなかったわ」と笑い、こう続ける。

「方正でごく普通に暮らしていたら、たまたま日本人がお嫁さんを探しにくるから、人数を揃えなければならないので参加してくれ、と役所の人に強く勧められたの。お見合いの印象?『こんな人嫌!』(笑い)。だって、その時、私は29歳で彼は42歳だったんですよ。でも、両親から強く説得されて結婚しました。まあ今となっては良かったかな」

©iStock.com

 結婚3年めには男の子も授かった。ホームシックとか嫌なことはなかったのかと問うと、こう笑いとばした。

「ぜんぜん無かった。結婚したのも3組合同の式で、結婚後もみんな近くに住んでいた。そのうち私の妹もこの近くに嫁いできたので、何か不満があると彼女たちとブーブー夫たちの悪口を言いながらストレスを発散していました」

 ただ、明子が嫁いだ緒方家は、百何十年も続いた旧家で、家は大きいのだが古く、あちこちの床がブカブカしていて、明子は「うちだけボロクソ家!」と、さかんに文句を言っていたという。それも、農業と土建業という二足の草鞋を履く夫の頑張りで最近建て替えられたばかりだった。だから建材の香り漂うピカピカの新築の家で、「今はとても幸せ」としみじみ語っていた。

再婚で子供と来日「今の私はとても幸せ者」

 もう1人。寺田弘子(41歳=仮名)は、自営業を営む13歳年上の現在の夫と99年に結婚。夫46歳、妻33歳のときだ。