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 日中の見合結婚で花嫁が33歳と高齢なのは比較的珍しい。というのも弘子は、日本に嫁ぐ前、既に中国で結婚した前歴があったからだ。当時、前夫との間に11歳の子供もいた。

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 弘子は言う。

「中国では離婚した時、私は25歳。それから母子2人、生きるために様々な仕事をしました。雑貨店の手伝い、三輪タクシーの運転手、道路工事。力仕事はなんでもやりました。だから日本に嫁いでも、つらいことはありませんでした」

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 連れ子は4年前に帰化し、この時19歳。日本語が十分でないので、高校に通っていたが、日本の生活に徐々に馴染んでいったという。

 最初の結婚について問うと、弘子はさめざめと泣いた。

「本当に好きで結婚したのに、あの男は私に知られるのを承知の上で堂々と浮気をしたのです。私には、そんな事は絶対に許せなかった。でも、その事があったから今の夫に出会えたのだと思います。夫は働き者で、お金は、私を信用して全部委せてくれます。だから、今の私はとても幸せ者です」

 お見合い業者を通して中国人女性と結婚する場合、日本の男性は、自分が30代後半や40代であるにもかかわらず、得てして、20代の若い女性を求めたがる。そうした意味では、子持ちだけれど働き者の弘子を選んだ夫は炯眼の持ち主といえよう。

「夫を殴りつけて、さっさと家を出ます」逞しい中国人嫁たち

 ただ私は詩織のケースを念頭に置いて、「もし夫が財布を握っていて自由にお金を使うことが出来なかったら、どうします?」と問うと、明子も弘子も、申し合わせたように明確にこう答えた。

「夫を殴りつけて、さっさと家を出ます。逃げますよ。結婚して3年経てば永住権が得られるし、それから1、2年我慢すれば国籍も取得できる。日本では、景気不景気にかかわらず体さえ丈夫なら女一人生きてゆく位の仕事はいくらでもあります」