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誘拐のターゲットになってしまうことも…
「昭和天皇の第5皇女であり、1960年に当時日本輸出入銀行に勤務していた島津久永氏と結婚し、注目を集めていた貴子さんが誘拐未遂事件のターゲットになったのです。これを機に、たとえ民間人となった皇族女性でも、警備は必要であるという認識が広まったと聞いています」
恋愛結婚で話題となった島津貴子さんの世田谷の新居には、連日野次馬が押し掛けるなどの騒ぎになっていたが、当時は金銭目的の誘拐事件が多発していた時代。1963年3月には日本中の関心を集めた「吉展ちゃん誘拐殺人事件」が起きている。
1963年10月、島津貴子さんを誘拐し5000万円を要求しようと計画していた不動産業者などの犯人グループが警視庁に逮捕された。
このときは犯行を未然に防いだものの、1968年には昭和天皇の第3皇女である鷹司和子さん(夫は明治神宮宮司・鷹司信輔の長男、平通氏。1966年に死去)の自宅に刃物を持った強盗目的の男が侵入し、怪我をする事件も起きた。
こうした事件が起きないよう、皇族女性については結婚後も一定期間は警備を続ける慣習が定着したという。
ただし、一生警護がつくわけではなく、生活が安定した後は、状況に応じて日常の買い物や外出は一般人と同じく行動し、警備が必要な場合にのみ所轄の警察署が対応する仕組みになっているという。