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 バイクの高性能化は、魅力的である一方でリスキーな面が目立つのも事実。国産メーカーは、スペック追求は得意だが、スペックとは無縁のバイクを感性で楽しませることが苦手だ。そんな意味でも“普通のバイク”であるSRはとても希少な存在だったのである。

 ただ、環境基準やコストなど、空冷エンジンで新しい排出ガス規制には対応できなかった……。

生き続けたSR 感じたヤマハの意地

初キックスタートで笑顔を浮かべる日テレの滝菜月アナウンサー

 SRは、本当に多くのライダーを育んできた。有名人では甲本ヒロトさんや武田真治さんが乗っていたし、最近だとアナウンサーの滝菜月さんが自身の愛車である40周年限定カラーとのSRライフをツイッターやインスタグラムに上げている。

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 SRは変わらなかったが、時代によってターゲットを変え、溶け込んで行った。人気が低迷したこともあったし、厳しい規制に対応できないんじゃないかと言われ、生産終了の危機もあった。しかし、SRは生き続けた。時にはヤマハの意地を感じた。

2018年からは環境規制に対応するためキャニスターがついた ©文藝春秋

 変わらなかったのでなく、変われなかったのかもしれない……。最後のモデルが登場するということで、それを改めて感じてしまう。

「職人の手が必要なパーツがたくさんある」

 変わらない空冷単気筒エンジン、丸みを帯びたティアドロップ状のガソリンタンク、キック始動。ついに最後までセルも付かなかった……。そんなSRの最後のモデルを見てみると、改めて美しいバイクだなぁと思う。多くの人がイメージする、オートバイっていうカタチ。現代のバイクが失ってしまったディテールに吸い込まれる。

大量生産全盛の世の中でも、いまだに職人さんの手が必要なパーツが数多く詰め込まれている

 現代のバイクは、大量生産のためにコストが下げられ、プラスチックや樹脂で出来たパーツが多い。一方で、SRには今でもデビュー当時から変わらない職人さんの手が必要なパーツがたくさんある。

 比較すれば、現代のバイクがプラスチックの塊のように見えるとさえいえるだろう。そこにヤマハのSR愛を感じるけれど、このパーツを手掛けた職人さんたちはこれから何を作るのだろう、と心配にもなる。生産終了になることの寂しさは、色々なところに連鎖していく。

「最後のSR」に当たった脚光

 ヤマハSR400のファイナルエディションは、2021年3月15日に3種類リリースされる。

1000台限定「ファイナルエディション・リミテッド」は特徴的なブラックサンバースト。あっという間に完売になった

 なかでも「ファイナルエディション・リミテッド」のブラックサンバーストの限定車はいいなぁ……と思い、発表から数日後に何店舗かに電話してみた。あっさり全滅だった。「キャンセル待ちは……」まったく無理そうだった。限定版ではないグレーとブルーのSR400にも注文が殺到しているようだ。発売発表から数日でおよそ6,000台もの予約が入ったとヤマハからリリースがあった。

 最後にSRに脚光が当たっているのがとても嬉しい。

 ありがとう、ヤマハSR。

©文藝春秋

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写真/ヤマハ
協力/ヤマハ発動機 https://www.yamaha-motor.co.jp/

小川氏が編集長を務める「RIDE HI」HPはこちら