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「どうする松本潤?」コンフィデンスマン“古沢脚本”の超難関《40年ぶりに家康を描くNHK大河》

2021/02/14
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「カリスマでも天才でもなく、天下取りのロマンあふれる野心家でもない、ひとりの弱く繊細な若者が、ただ大名の子に生まれついた宿命ゆえに、いやが応にも心に鎧をまとわされ、必死に悩み、もがき、すべって転んで、半ベソをかきながらモンスターたちに食らいつき、個性的な仲間たちとともに命からがら乱世を生き延びてゆく。それこそが誰もが共感しうる現代的なヒーローなのではないか」

「主演の松本潤さんは、華やかさと親しみやすさを持ち合わせ、私の描きたい主人公像『ナイーブで頼りないプリンス』にまさにピッタリ」(NHK公式サイトより)

 タヌキ親父ではなく、ナイーブなプリンス。なるほどそう言われてみれば、古沢氏が描こうとしている新しい徳川家康像に、松潤が徐々に重なってくる。

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嵐 ©文藝春秋

「カッコつけすぎて逆に面白い」という新キャラ

 松潤は華やかなスターオーラを纏う一方で、バラエティ番組では不器用さをさらけ出してイジられることも多かった。『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)の「THIS IS MJ」というコーナーでは、「カッコつけすぎた結果、カッコよすぎて逆に面白い松本潤」という新たなキャラを確立してみせた。

 このキャラクターが面白かったのは、番組企画のために無理やり作られたものではないことも影響している。もともと松潤が持ち合わせている、想像を絶する真面目さ、ストイックさ、熱さという特徴が反映されているからこそ「カッコよすぎて逆に面白い」キャラクターの魅力は本人によくフィットした。

「食事をしていてもお酒が入っても仕事の話しかしない松潤」のエピソードは、仲のいい生田斗真をはじめ多くの人が語っている。「嵐」のコンサートの演出を任されていて、その打ち合わせがいつも白熱するので、予定の時間を超えて深夜に及ぶというのもファンの間では有名な話だ。

©文藝春秋

 後輩の面倒見もよく、「Hey! Say! JUMP」のライブを見にいったときには、紙にびっしりアドバイスを書いてメンバーに渡したこともあったという。おせっかいなウザい先輩扱いされてもおかしくないが、親切100%の松潤だと、なんともほっこりしたエピソードになってしまう。

「花より男子ファイナル」ブルーレイパッケージ

 これらの松潤の性質は、役者としての印象にも大きく影響している。代表作となった『花より男子』(2005年/TBS系)で演じた道明寺司も一見「俺様系」のようでいて、真っすぐで熱く、そしてちょっとヌケたところのあるキャラクターだった。