県教委は報告を受け18年11月になって剣道部の顧問や元担任、校長らに懲戒処分を下した。だが、その内容は校長に戒告、担任らに訓告。メモを廃棄した顧問ら2人は「厳重注意」という軽いものだった。
加古川市「法的責任はない」と遺族と法廷闘争
加古川市側の「誠意がない」対応に業を煮やした両親は昨年、市に7700万円の損害賠償を求める提訴に踏み切った。不信感を抱きながらも和解の道を探り続けた末の法廷闘争だった。
だが、市教委はここでも「調査から得られた事実や過去の裁判例などに照らせば、市側に法的責任は認められない」と、遺族の感情を刺激するコメントを公表。岡田康裕市長も、メモの廃棄を「理解できないことではない。紛失も廃棄も大差ない」と隠蔽行為を問題視しない姿勢を見せている。
両親はすぐに「市教委の対応に誠意を感じなかった。娘の身に起きた悲しい事件を二度と起こさないためにも市教委の改革が必要。争い事が大嫌いであった亡き娘は、訴訟を一番嫌がっていると思うと忸怩たる思い」と怒りをあらわにした。
前述の市関係者は言う。
「遺族は娘さんを失っただけでも相当なショックを受けている。そのうえ、市との和解協議でも決裂し、『法的責任は認められない』なんてコメントを出されてしまった。市がケンカを売ったとしか思えない」
両親が苦悩の末に起こした裁判は2月10日、神戸地裁姫路支部で初めての口頭弁論が開かれ、Aさんの父親は「ただの言い逃れに終始する加古川市教育委員会には反省の気持ちを微塵も感じず、許すことはできない」と改めて憤った。それに対し、事実を闇に葬り続けた市が見せたのは、「請求棄却」を求めて争う姿勢。遺族を悲しませる対応を、どこまで続けるつもりだろうか。