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男子高校生いじめ自殺、東京都が検証しなかった「LINEいじめ」も明らかに

それでも都側は「いじめ」の事実を認めず

2020/12/25

「クラスでいじられキャラのような感じが少しありました」

「男子にちょっかいを出されて本人は嫌がっていた」

 2015年9月に、都立小山台高校の男子生徒Aさん(享年16)が自殺した件について、学校設置者の東京都に対して損害賠償を求めている東京地裁(清野正彦裁判長)の口頭弁論で、これまで「不存在」として公開されてこなかった資料の中に、冒頭のようなアンケートの回答があり、かつAさんに対するLINEいじめの疑いが明るみに出た。2020年12月18日、原告側は準備書面を提出し、この点を指摘した。

 都教委では2017年9月、「いじめ問題対策委員会」の報告書を提出していた。しかし、このLINEいじめの可能性については報告書で触れられておらず、調査や分析が十分でなかった可能性が出てきた。

東京地裁の前に立つAさんの母親 ©渋井哲也

初めて分かった男子全員が参加するグループLINEの存在

 訴状などによると、2015年4月、Aさんは高校入学後から嫌がる呼び名で同級生から連呼されたり、無視をされるなどしていた。同年9月27日、JR中央線の大月駅(山梨県大月市)のホームから飛び降り、電車にはねられて死亡した。情報開示請求で開示された資料によると、自殺前の4~5月、Aさんは学校のアンケートに悩みを記載し、スクールカウンセラーの相談を希望していたこともわかっている。自殺する9月には、保健室を4回利用しているが、保護者には連絡はなかった。

 遺族側が新たに提出した準備書面によると、亡くなったAさんが所属するクラスの男子のみで作っているグループLINEがあったことが初めてわかった。このグループには、Aさんを除く、男子の全員が入っていた。Aさんも招待はされていた。しかし、グループ名が「彼氏募集」となっており、出会い系の宣伝のようなグループ名になっていた。つまり、事前に知らされていなければ、そのグループに参加することを躊躇させてしまうもので、Aさんを排除する「仲間外れ」のいじめ行為だと遺族側は主張している。

 都教育委員会の「いじめ問題対策委員会」作成の報告書(2017年9月14日)では、部活動全体のグループLINE内のやりとりや特定の生徒との1対1のLINEのやりとりは検討されている。しかし、クラスの男子のみのグループLINEについての言及は一言もない。