自殺した男子生徒に関して、「不存在」とされていた教員の聞き取りの記録の写しが見つかったことが3月13日、東京地裁(徳岡治裁判長)でのやりとりでわかった。
2015年9月に、都立小山台高校の男子生徒・Aさん(享年16)が自殺した。訴状などによると、同年4月、Aさんは高校入学後から本人が嫌がる呼び名で同級生から連呼されたり、無視などされていた。同年9月27日、JR中央線の大月駅(山梨県大月市)のホームから飛び降り、電車にはねられ、死亡した。遺族は、「Aが自殺したのは学校が対応を怠ったから」などとして都を相手取り訴えている。
黒塗りの3枚しか開示されなかった資料、実際には60枚
存在が明らかになった資料は、Aさんが自殺した後に行われた調査内容の一部に関する写しで、東京都教育委員会の「学校経営支援センター」が教員から聞き取ったもの。A4用紙で60枚になる。
「これまで開示されたものの中で、教員の聞き取り箇所の分量はA4で3枚だけ。聞き取り内容をまとめた一覧表の箇所にあたります。それもすべてが黒塗りでした」(遺族)
今回のやりとりなどによると、2019年7月、東京都側がこの裁判の打ち合わせをしていたとき、校長がその資料の写しを持っていたことがわかった、という。
「これまでの情報開示請求では、自殺前の4~5月、息子は学校のアンケートに悩みを記載していたことがわかりました。それに、スクールカウンセラーへの相談を希望していたのです。自殺した9月には、保健室を4回も利用していたのですが、学校からの連絡はありませんでした」(遺族)
生徒の死後に行われた学校の調査では、いじめは確認できなかった。しかし、遺族がAさんのスマートフォンのデータを復元したことで、メモ帳の内容や同級生とのやりとりなどから「いじめがあったのでは」との疑念を持ち、「何があったのか知りたい」と、いじめ防止対策推進法に基づく調査を求めた。