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“あだ名の連呼”がいじめの可能性として検討されたが……

「調査委員会の聞き取りで出てきたもの。LINEいじめの可能性があり、かなり重大なもののはず。調査委の会議は非公開のため、会議で話題になっていたのかはわからないが、報告書を見る限りでは、この点を検討した形跡はない」(弁護団)

 こうしたクラスでの位置付けが影響をしたのか、運動会の際にも孤立しているような様子について、「応援合戦をするときに、生徒Aだけ、応援席のところに一人で残っていて、どうして残っているのかなと思ったのですけど、結局、参加せずに一人で応援席にいました」との声も、アンケートで寄せられた。

 一方、部活動全体のグループLINEについては、Aさんのあだ名が連呼されていたことが、いじめの可能性として検討されている。報告書では、「何らかの意味での評価を含んだ言葉など」は一切付されていないこと、また連呼行為は複数の生徒によって10回されているが、所要時間は4~5分程度であったこと、証拠上確認できるのは、特定の日1回だけだったことなどから、「一種の言葉遊び的な行為」であり、「攻撃的又は不定的な意図を持って行われた行為と判断することは困難」として、いじめ行為を否定している。

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亡くなったAさんが使っていた自宅の机 ©渋井哲也

「いなかっ……」聞き取り対象の生徒が言葉を止めたことの意味

 しかし、この連呼行為について、これまでの裁判で東京都が原告側に提出した資料の中で見つかった生徒への聞き取りの中で、こうした連呼について、「他の人で名前をもじって言われていた人はいますか?」との問いがなされていた。聞き取りの対象になった生徒は「いなかっ……。すいません、結構ずっとやってたので憶えていません」と答えた部分がある。聞き取りをした担当者はそれ以上、突っ込んで聞いていない。準備書面では「むしろ途中で言葉を止めたのは『悪い行為』『嫌がらせ行為』『本人が嫌がっている行為』であるという認識があったという証左」とした。

 この嫌がるあだ名の連呼は、生徒だけでなく、教員からもなされていた。授業中に、Aさんを呼ぶときには、毎回、そのあだ名で呼ばれていた。Aさんが自殺した年のアンケートでも、「先生に間違った読み方で呼ばれていた(複数回)」と記されていた。しかも、教員への聞き取りの際にも、嫌がるあだ名で呼んでおり、教員は校長から注意されていた。