昨年大晦日のNHKの紅白歌合戦の終盤、松任谷由実のステージで、出川哲朗と爆笑問題の田中裕二、ナインティナインの岡村隆史と小柄なお笑いタレントによるユニット「スモール3」がサプライズで登場した。このとき、松任谷と一緒に歌ったあと、出川が別スタジオにいる総合司会のウッチャンナンチャン・内村光良に「チェン、出ちゃったよ!」と呼びかけると、「チェンじゃないよ!」とツッコまれていた。
チェンとは、内村がジャッキー・チェンに似ていることから出川がつけたニックネームだ。出川はその2年前、内村が2度目の総合司会を務めた2018年の紅白にもゲスト審査員として登場。内村から「なぜだか、私が紹介するはめになってしまいました。友人の出川哲朗君です」と紹介されると、「きょうは正直、紅白の審査員より学生時代からの親友の司会のチェンの応援に来ました。チェン、頑張れよ!」と呼びかけ、「紅白でチェンはやめてください!」とこのときもツッコまれていた。
出川とウッチャンナンチャンとの出会いは…?
このやりとりからもわかるように、出川と内村および相方の南原清隆はもともと横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)の同級生で、かつては出川が座長を務める「劇団SHA・LA・LA」で一緒に活動した仲でもある。
そんな背景があるだけに、両者が紅白という国民的番組で対面したのは、ちょっとドラマチックであった。出川の場合、長年「抱かれたくない男」「嫌いな男」1位の常連だったのが、50歳をすぎて一転して老若男女に愛されるキャラとしてブレイクし、紅白の審査員にまで選ばれたのだから、なおさらそう感じさせる。
きょう2月13日は、その出川の57歳の誕生日だ。奇しくも1歳下の南原も同じ日に生まれている。ちなみに内村は7月22日が誕生日で、現在56歳である。
出川とウッチャンナンチャンの2人が出会ったのは1983年。まず仲良くなったのは出川と内村だという。出川はもともと俳優志望で、一緒に劇団をやるメンバーを見つけるために地元・横浜の専門学校の演劇科に入学した。その初日、まだ熊本から出てきたばかりだった内村と出会う。
出川は当時を振り返り、新入生が1人ずつ自己紹介していくなか、《チェンは「毎朝『ロッキーのテーマ』をボリューム全開で聞きながら、生卵を2つ飲んで起きる」って言ってたから、「変な人だな」と思って》と明かしている(※1)。内村は少年時代に郷里の映画館で観た『ロッキー』に感動して以来、映画監督を志していた。
やがて内村と友達になった出川は、2人で学校から帰る途中、「俺は劇団をつくりたい」と言うと、内村も「僕もそうだ」と意気投合、握手をしたという(※2)。ただし、同級生の南原や入江雅人なども一緒になって劇団SHA・LA・LAを結成するのは、学校を卒業してからのことである。