大河ドラマの新作『青天を衝け』がきょうからスタートする。前作『麒麟がくる』が撮影の中断から放送が年をまたいだため、大河では異例の2月開始となった。本作の主人公は幕末から昭和を生きた実業家・渋沢栄一で、吉沢亮が演じる。今月1日に27歳になったばかりの吉沢は、大河の主演経験者では初の平成生まれだ。

『青天を衝け』で渋沢栄一を演じる吉沢亮 ©時事通信社

 放送の始まる前週には、新たなキャストとしてディーン・フジオカが明治期の実業家・五代友厚を演じると発表された。ディーンは同役をほぼ5年前の2015~16年にも、『青天を衝け』と同じ大森美香脚本によるNHKの朝ドラ『あさが来た』で演じている。劇中、ヒロイン・白岡あさ(波瑠)のビジネス上の盟友として描かれた五代は主に女性視聴者をとりこにし、ディーンは一躍ブレイクを果たした。

『あさが来た』で渋沢を演じたのは三宅裕司

『あさが来た』には渋沢栄一もドラマ後半の第17週に登場している。演じたのは三宅裕司だ。亡くなった五代の意志を継ぐべく、あさが大阪で銀行を設立するにあたり、教えを請うたのが「銀行の神様」といわれていた渋沢だった。

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『あさが来た』で渋沢を演じた三宅裕司 ©文藝春秋

 あさと面会した渋沢は、飄々とした雰囲気ながら、「銀行を経営する者が一番欲しくて、一番大切なものは何か」と、鋭い質問を投げかける(答えは「信用」)。このとき「第1問」といったテロップが入るなど、クイズ番組風の演出がユニークだった。渋沢はまた、人づくりの大切さをあさに説き、彼女が後年、女子大学を創設する発端をつくることにもなった。

 渋沢と五代は明治時代、それぞれ東西を代表する財界リーダーとして並び称された。官僚から民間に転じて、多くの事業を興したことなど共通点も少なくない。『青天を衝け』で両者がどんなふうに関係するのかは、見どころのひとつだ。ひょっとすると、ドラマが進展するなかで、いずれ白岡あさのモデルとなった広岡浅子(現在の大同生命や日本女子大学の創設者)も出てくるのだろうか。

 これまでにも渋沢栄一はたびたび映像作品に登場し、さまざまな俳優によって演じられてきた。ここでちょっと振り返ってみたい。