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スポーツ界のリーダーは何歳が適任か……45歳の私が現場に口を挟むことをやめた理由

池田純「スポーツビジネス・ストロングスタイル」#8

2021/02/16
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 1月に開幕したプロバスケットボールリーグ・B3は第6節までを消化しました。私が代表を務めるさいたまブロンコスは残念ながら8戦全敗。主力選手の故障もあり、単独最下位に沈んでいます。

 厳しいシーズンになるだろう、と予想も覚悟もしていましたが、やっぱり負けるのは純粋に悔しい。新生チームとしての初勝利をなんとかもぎ取ってほしいと願っています。

 ただ、負けを重ねていくなかで、私の心の中には、悔しさを凌駕する、前向きの感情がムクムクと芽生えています。

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 このチームが、ここからさらにどんな苦難、葛藤を経験し、どうやって成長していくのか。目先の勝敗よりも、未来に向けたチームづくりのプロセスのほうが遥かに楽しみに感じられてきたのです。

開幕戦敗戦後のロッカールーム(公式YouTubeチャンネル「ブロンコスの小屋」より)

 ブロンコスには泉秀岳という選手がいて、アシスタントコーチとGM的役割を兼任しています。開幕戦では選手とコーチのバランスの取り方に戸惑い、普段なら決められるシュートも入らないような状態になってしまっていました。それでも、日々悩みながらチームを成長させようと、懸命に努力してくれています。

「外国人を補強しようか?」と声をかけると…

 新型コロナウィルスの影響で、新規の外国人選手が入国できなかったこともあり、新しいスタートを切った新生ブロンコスは、Bリーグのチーム戦略のセオリーといえる「外国人3枚(3選手)」ではなく「外国人1枚」での戦いを強いられています。それでも泉は日本人選手中心のチーム構成の中で、どう強い相手に立ち向かえばいいか、明確な戦略を立て、来季に向けて日本人選手層を厚くしていこうと、知恵を絞ってくれています。

 試合を見ていると、とにかく空中戦を制する強力な外国人選手がいないのが痛い。3枚と1枚では、やはり高さで優位を保てる時間がどうしても少なくなってしまう。いてもたってもいられず、連敗が続くなか私から泉選手に対して「外国人を補強しようか?」と声をかけたことが幾度となくありました。しかし、彼は「まだ必要ありません。むしろ、日本人選手5人でのプレー時間が長くなっていく中で、少しずつブロンコスなりの戦い方が形になってきているので、今のメンバー、今の戦い方でもう少しやってみたい」と、明確な意思を示してくれました。

 確かに勝つことはできていませんが、選手たちが手応えを感じている試合も多くありました。しっかりと未来を見据えて苦境に立ち向かっていく様子を見て、私は「チームのことは泉に任せていこう」という思いを強くしました。