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東京五輪開催は「コロナに打ち勝った証」というメッセージに違和感

 オリンピックについていえば、この騒動以前から、ずっと違和感を覚えていたことがあります。

 オリンピック開催が「コロナに打ち勝った証」というメッセージを、政府や組織委員会はずっと繰り返しています。

 しかしこの言葉は、ただ政府が発したいメッセージに過ぎず、世間一般の人たちのほとんどが、そうは思っていないでしょう。

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 そもそもお祭りというのは、お米などがたくさん収穫できたときに行われるもの。コロナ禍でいわば“飢饉”の状態にある今、「飢饉を乗り越えた証に」と言ってお祭りをしようというのは無理な話ではないかと思います。今、我々はコロナとの戦いのさなかにある。乗り越えてはいない。そしてこの夏も、まだ乗り越えた、とは到底いえない状況があるように思います。

 また、「コロナに打ち勝った証」という発想は、正直にいえば、後ろ向きです。民意を振り向かせたいなら、過去ではなく、未来に向けてのオリンピックであることを発信していくべきです。

©iStock.com

 もちろん、表面的なメッセージだけではなく、その内実も伴うものにする必要があります。

 わかりやすく言えば、オリンピックの開催によって国民に、概念的な夢や希望だけでなく、実際に物理的で経済的な恩恵・メリットがあるような施策を打って、国民のマインドを大きくシフトする、というくらいのことがなければ、もはや民意が心底オリンピックを受容しないのではないでしょうか。緊急事態だからこそ、普段では不可能なくらい大胆な施策を打つ必要がある、と思います。

オリンピックのロゴマークを自由に使えるようにしてみたら…

 今必要な発想は、たとえば……。

 オリンピックのロゴマークを、誰でも自由に使えるようにしてみてはどうでしょうか。

 もちろん、その障壁は高く、極めて非現実的な案だということは承知しています。その上での、外部からの振り切った提案です。

 でも、もしロゴマークをはじめとする権利を、今年に限り、また国内に限って、数パーセントのロイヤリティで開放することができるならば、中小企業から商店街のお店単位まで大小様々な事業者が、それぞれにオリンピックと関連付けた商品やサービスを開発することで、直接的な利益を得られる可能性が出てきます。「オリンピックを開催することで元気を取り戻そう」というコンセプトに、国民全体のモチベーションが加わり、説得力が出てきます。