文春オンライン

スポーツ界のリーダーは何歳が適任か……45歳の私が現場に口を挟むことをやめた理由

池田純「スポーツビジネス・ストロングスタイル」#8

2021/02/16
note

大切なのは次世代リーダーの成長

 全敗、というのは確かにつらい状況です。スポーツの世界では、勝ちが欲しくて緊急補強に乗り出す、といったようなこともしばしば起こります。それによって「6勝15敗」くらいの、お茶を濁すような成績に持っていくことはできるかもしれません。しかし、そういった応急策は、根本的な解決にならないことがほとんどです。ここまでの8戦全敗を経験しながらわかってきたのは、もちろん目の前の「1勝」を追い求める姿勢は持ちつつも、未来を見据えることがより大切だということです。小手先の補強ではなく、組織としての強度が増すような施策に注力する。

 そのために一番大切なことは、チームと経営のそれぞれに、次世代リーダー人材を成長させなくてはならないことだ、と考えています。

 そこで、チームの代表となって1年も経っていない段階ではありますが、私自身がまず思い切って、一歩ずつ退いていくことを決断しました。

ADVERTISEMENT

泉秀岳選手兼AC(公式YouTubeチャンネル「ブロンコスの小屋」より)

 私があれこれと現場に口を挟むのをやめて、もっと現場に任せる。いろいろと考えさせる。そして、困難や課題を乗り越えていってもらおう、と考えるようになりました。

 たとえばチームの経営に関しては、B2のクラブで社長を務めていた経験もある北川裕崇バイスチェアマンに、ほぼすべてを任せています。

 そして私の役目は、後方支援に重点を置いています。チームが負けつづけ、今季がファンの獲得や事業の拡大につながらなかったとしても、来季を見据えてチームづくりに邁進できるよう、資本政策などを通して組織として持ちこたえられるような最後の支えとなることだと考えています。

 そしてチームは、前記したように泉選手に任せる。北川はきちんと選手側と意思疎通をして、泉が戦いやすい体制を作っていく。そうすることで彼ら自身が考え、伸び、今よりもワンランク、ツーランク上へと成長してくれるのではないか。ふたりとも、このチームの「未来の要」となる人材です。彼らに挑戦の機会を与え、この機にステージアップさせておくことができれば、今の苦境を脱したあとの組織としての成長につながっていきます。