スポーツ界リーダーは40代が適任
私はスポーツの世界の社長やリーダーは、40代が適任だと考えています。ただし、後に記す五輪の組織委員会トップの人事などは、政治的要素が絡みすぎるので、なかなかそうはいかないと思っていますが。でも、45歳になる私自身は、さらに次世代の人材を作っていく、その成功例を日本のスポーツ界に示したい。そんな思いを強く持っているのです。
ブロンコスが目指すべきは、着実に成長のステップを踏み、チームと事業の土台をつくりあげ、その過程をファンにしっかりと示していくことです。目先の1勝、1敗よりも、未来に向けて進んでいる姿がファンの共感を呼ぶ、そう信じて突き進んでいきたい、と思っています。
視線を向けるべきは、あくまで未来――。これは、東京オリンピック・パラリンピックについても言えます。
政府は、オリンピックを「コロナに打ち勝った証」と位置づけ、今夏の開催を実現させようとしています。しかし、世論は「中止・延期」が7、8割で、民意がついてきているとは言えない状況です。また、組織委の森喜朗会長の失言に端を発した騒動によって、旗色はさらに悪くなっています。森会長は辞任を表明し、今度は80歳を超える川淵さんへのバトンタッチも画策されましたが、いかにも旧来的な根回し、森会長からの禅譲的な選考プロセスに批判があつまり、一転して政府の方からの圧力で白紙撤回となりました。
スポーツ界のトップに巣食う保身や忖度
今回の一連の混乱は、この令和の時代にあっても、昭和の「日本の病」がまだまだ日本の中枢に居座っていることを露呈してしまった、と思います。
私は2年前、日本のスポーツ界のど真ん中で戦っていたときの葛藤を著書『横浜ストロングスタイル』にまとめましたが、まさにあの本の中で描いたスポーツ界のトップに巣食うしがらみ、保身や忖度だらけの実態が、白日のもとにさらされた、といっていい。
組織の若返りを図り、次世代人材に思い切って仕事を任せるといった人事のダイナミズムで組織を上昇気流に乗せていく、ブーストをかけていく。
そんな未来への期待感が全く感じられず、改革を図ろうというポーズすら見えず、ただただ閉塞感だけが感じられてしまう。すべては民意とはかけはなれたところで進む、政界・スポーツ界のドタバタ劇、と感じている人も多いと思います。ただただ、残念としかいいようがありません。