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森喜朗に引導を渡したアメリカの“ラスボス”とは?

2021/02/19
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 2月12日、東京2020オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で引責辞任し、大会中止の秒針がまたひとつ進んだ。辞任に至るドタバタがさらけ出したのは「スポーツ興行主」の国際オリンピック委員会(IOC)が、食い扶持としてのオリンピックを新型コロナウイルス感染対策に優先する本音だ。

IOCの顔色を窺う森氏

 森氏の問題発言は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)で飛び出した。森氏は2日に自民党本部でも「コロナがどういう形であろうと(五輪は)やる」と述べ、タレントのロンドンブーツ1号2号の田村淳さんの聖火ランナー辞退を招いている。

 オリンピック憲章に反する女性蔑視発言をした森氏を庇ったのは、他ならぬIOCだった。森氏が4日に発言を撤回すると、すかさずIOCは不問に付した。オリンピックを「平和の祭典」だと思っていた世界中の人々を驚かせた。

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 だが、IOCは9日、「(森氏の発言は)完全に不適切」と、あっさり手の平を返す。前日夜、IOCと組織委の会談で、「最上位スポンサーの反発が強い」と森氏に告げたためと、朝日新聞は伝えた。IOCのスポンサーは契約金と権限でランク付けされ、1業種1社から選ばれた14社の「TOP(ワールドワイド・オリンピック・パートナー)」が最上位だ。TOPであるトヨタ自動車や民泊仲介大手の米エアビーは10日以降、森発言を批判する声明を出している。