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BLと言わなかったのは“BL隠し”ではなく…都合よく“普遍的な愛”にさせない『ポルノグラファー』の秀逸さ

2021/02/18

source : 提携メディア

genre : ライフ

note

 そのため、ただただ純粋に作品の世界観を深めることに注力し、クオリティを高めることに成功しています。

 オノマトペでいうと、「きゅん」ではなく、「ドキッ」。俳優のヴィジュアルと演技、恋愛描写をとことん追求することができた結果、官能的で美しい実写BLに仕上がっています!

人気のワケは配役と演出、そして濡れ場

©丸木戸マキ/祥伝社 フジテレビジョン

「ポルノグラファー」が人気の理由はいくつかあります。まずは、キャスティングのよさ。特に主人公の木島のキャラクターは、漫画からそのまま飛び出してきたかのような再現度。ミステリアスで物憂げな雰囲気がありながらも、ちょっとおとぼけなかわいさもある様を竹財輝之助が完璧に演じてくれています。

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 しかも、漫画では感じられなかった声が、しっかりイメージに合っている! 妖艶で色気のある、耳に残る中音ボイスが狙い通りハマっています。口述筆記の際に淫らな官能小説の文章を木島が読み上げ、その声が久住の下半身を疼かすという描写も作中もあるのですが(鼻血)、ドラマCDを聞いているかのような錯覚に陥りること必至です(イヤホン推奨!)。

 また、猪塚健太演じる久住の健気さやいじらしい姿も、視聴者をぐっとドラマに引き込ませます。

 もうひとつは、恋愛ドラマとしての細やかな心情表現が追求された演出です。BL作品において重要なのは、登場人物同士の“関係性”がいかにうまく描かれているか、という一点に尽きるのではないかと思います。

 本作は見慣れたラブコメのような大げさなドタバタ演出がなく、全体的に落ち着いたトーンで進んでいきます。恋愛を描くことを主眼に置くBLにとって、行間を読ませる繊細な心理描写は、作品の肝。映像化においても原作をしっかりなぞり、文学的で甘美な世界観そのままが映像になっています。そのため登場人物の関係性が際立ち、それをじっくりと見つめることができるんです。

 そしてなによりすばらしいのが、ラブシーンのガチさ。濡れ場もていねいに描かれているんです。じめっとした独特の湿度と質感が色めき立ちながら伝わってくるので、エロさはもちろんのこと、映像の色彩やBGMの美しさに驚かされます。これはプライムタイムのドラマではできなかったでしょう。配信前提だから思い切れた部分だと思います。