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2021/02/23

――こんなにも早い段階で大ブームになることは、杉山さん含め、制作陣のみなさんにとっても予想外だったんですね。

杉山 もちろん良い作品に仕上がったという自信は持っていましたが、とにかくヒットした早さがすごいなと。話題になり始めた日にスタッフから、「公式Twitterのフォロワー数がものすごい速度で上がってきていますよ!」と報告を受けて驚いたのを覚えています。1話1話が短いので人に勧めやすいというのも功を奏したんだと思いますが、まさにSNS時代だからこその広がりだと感じました。

 また、癒しや可愛さがウケた一方で、『モルカー』は技術的にもかなり高度なことをやっているので、目の肥えたアニメ好きの方々から受け入れてもらえた部分も大きかったんでしょう。

(シンエイ動画提供)

 

50万件以上呟かれTwitterのフォロワー数は驚異の38万人超え

――急なブーム到来で広報担当の方々も大忙しだったんじゃないでしょうか?

杉山 ええ、本当に。公式Twitterのフォロワー急増を受けて、「フォロワー数が○万人達成したら何かプレゼント企画でもしなくちゃいけませんね」なんてスタッフ間で話を詰めているうちに、その目標人数を軽く超えちゃって(笑)。それぐらいバタバタで、まさに嬉しい悲鳴があがってましたね。現在(2月17日)はフォロワー数38万人超えですから、今も宣伝プロデュースのメンバーは毎日鬼のような仕事量をこなしていますよ。

 余談ですが、最初は予算も少なかったため当初は制作のシンエイ動画だけで宣伝をやっていたんです。けれど、今の宣伝プロデュースに付いてくれているメンバーが、「この作品だったらぜひ力になりたいです!」と名乗り出てくれたんですよね。そのほか、毎日寝不足で頑張ってくれている商品化や海外担当のメンバーなど、作品に惚れ込んで集まってくれたスタッフのおかげで、今みなさんに『モルカー』の様々な情報をお伝えできているんです。

ダークな世界観を持つ20代の鬼才、見里朝希監督との出会い

――『モルカー』の生みの親である見里朝希監督は1992年生まれでまだ20代後半ですが、杉山さんとはどのような経緯で知り合ったんでしょうか?

杉山 見里監督と出会ったのは2年前ぐらいですね。弊社社長の梅澤が知人から「すごくおもしろくて優秀なクリエーターがいるから紹介したい」と言われて一緒に会ったのが見里監督だったんです。そのときに資料としていくつか監督が手がけてきた作品を見せてもらったんですが、そのなかのひとつの『マイリトルゴート』という作品に驚かされたんですよね。

――『マイリトルゴート』は、見里監督が在籍していた東京藝術大学大学院の修了制作作品で、「パリ国際ファンタスティック映画祭」グランプリなど、国内外で多数の賞を受賞された作品ですね。オオカミに食べられた子ヤギたちを腹から救い出した母ヤギと、森をさまよう少年らが織りなす、残酷で恐ろしくも、どこか美しい寓意に満ちたダークファンタジー。可愛らしい世界観の『モルカー』とダークな世界観の『マイリトルゴート』とのギャップに、ファンたちは良い意味で動揺し、大きな話題になっていました。