杉山 『マイリトルゴート』は、『モルカー』しか知らなかった人にとっては衝撃でしょうね。僕が初めて見たときはその作り込まれたダークな世界観と演出、なにより緻密極まる羊毛フェルトのストップモーションの技術に心を撃ち抜かれました。それですぐに梅澤と一緒に見里監督に「一緒に何かやりたいね。羊毛フェルトアニメでアイデアを持って来てください」と伝えたんです。そういった経緯で監督からいくつかの企画が挙がってきまして、そのなかのひとつが『モルカー』だったんですよ。
短尺ながらいきなりの地上波テレビシリーズとして動き始めた
杉山 実は当初、見里監督は『モルカー』を映画想定で企画していたんです。でも、モルカーたちの可愛らしさはテレビシリーズにしたほうが、たくさんの子どもたちに見てもらえるし、おもちゃなどのマーチャンダイジング展開もできる予感がしたんですよね。そこで「パトカーや救急車といったさまざまな種類のモルカーを登場させるのはどうか?」と見里監督に提案したところ、うまく作品に昇華してくれて、今のような方向性になったんです。
――もともとは90分くらいの長編映画を想定していたということでしょうか?
杉山 いや、そこまで長くはなかったですね。実際問題、羊毛フェルトのストップモーションで90分となると、制作に何年かかるんだって話ですからね。2年以内くらいに作品を世に出せるようにしたいという構想が当初の企画会議の段階からあり、そこから逆算したという事情もありました。
そして、放送枠として前向きに検討してくれていたテレビ東京の『きんだーてれび』が、5分間という短い放送枠の番組だったので、その枠内に放送できる尺ということを考えて『モルカー』は2分40秒となったんです。見里監督に短尺のテレビシリーズにしようと伝えたとき、「え、そもそも地上波で流してもらえるんですか!?」って驚いていましたね(笑)。
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『モルカー』のお話はまだまだ尽きない。後編では杉山さんと見里監督の『モルカー』制作秘話に加えて、杉山さんが考える作品の魅力などについて伺ったので、ぜひ後編もチェックしていただきたい。
(文=TND幽介〈A4studio〉)
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