モルモットが車になった不思議な世界を舞台に、モルモットの車“モルカー”たちが愉快なドタバタ劇を繰り広げるアニメ『PUI PUI モルカー』(以降、モルカー)。
2021年1月5日にテレビ東京系『きんだーてれび』内で第1話が放送されて以来、TwitterなどのSNSを中心に、老若男女を問わず話題になっている。
羊毛フェルトで作ったモルカーたちを、少しずつ動かしては1コマ1コマ写真撮影するストップモーションの技法を用いた本作。1月12日(火)の第2話放送時にはTwitterで50万件以上つぶやかれトレンドを席巻した。
以来、手作りのぬいぐるみやファンアートなどが次々SNS上に登場する盛り上がりを見せており、現在(2月17日)、公式Twitterアカウントのフォロワー数は38万人を超えている。
『モルカー』のエグゼクティブプロデューサーである杉山登氏に、制作時のエピソードや『モルカー』の生みの親である見里朝希監督のこだわりについて語っていただいた。(全2回の2回目/前編を読む)
ダークさと可愛さが両立した見里朝希監督のバランス感覚
――1992年生まれで20代後半の見里監督と、『モルカー』という作品を作り上げていくときに、杉山さんが心がけたことをお教えください。
杉山 子ども向けの作品として楽しく魅力的に作っていくと同時に、『マイリトルゴート』(※)に代表される、見里監督の持ち味であるダークなテイストやメッセージ性も残したいなと考えていました。ですから制作が正式に動き出した際に、監督には「ちょっとした毒やメッセージも入れていただいて構わないです」と伝えましたね。
(※『マイリトルゴート』とは、見里監督が在籍していた東京藝術大学大学院での修了制作作品。「パリ国際ファンタスティック映画祭」グランプリなど、国内外で多数の賞を受賞。森をさまよう少年、オオカミに食べられた子ヤギたち、その子らを腹から救い出した母ヤギが繰り広げるダークファンタジー作品。グロテスクさと美しさを兼ね備えた演出はSNS上でも大きな話題を呼んだ)