先週より放送が開始された大河ドラマ『青天を衝け』で主演を務めるのは、27歳の俳優・吉沢亮さん。

「日本資本主義の父」と呼ばれるほどの辣腕実業家として知られる渋沢栄一の生涯を描くにあたり、彼が名を成す前の若々しい部分も丁寧に描きたい。そう考えた製作陣が、吉沢さんの瑞々しさ、そして高い演技力を見込んで主演に抜擢したという。

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「大河ドラマ主演」の第一報を受けた日のことは、まるで昨日のことのように思い出すことができる。

「一昨年の夏のある日、家で一人でバラエティを観ながらお酒を飲んでいたら、突然マネージャーさんから電話がかかってきたんです。

『誰にも言えない話があるので家にお邪魔してもいいですか?』

 こわっ、と思って。何かやらかしたかな、と。慌ててテレビを消して、『なんだ突然?』とドキドキしながら待っていました。家に着くなりマネージャーさんが鞄から資料を取り出して、『大河の主演決まりました』って。ビビりました。喜びが爆発、という前に、とにかく自分で務まるのか、作品が成立するのかという不安が襲ってきたのを覚えています」

 

「いつ辞めてやろうか」

 2009年に母のすすめで受けたオーディションで特別賞を受賞して芸能界入り。映画『キングダム』で生い立ちや性格のまったく異なる二役を演じたこと、NHKの朝ドラ『なつぞら』で広瀬すず演じるヒロインの初恋の人・山田天陽役を演じ、“天陽ロス”なる言葉が生まれたことなど、その注目度の高さは今さら言うまでもない。

 だが、デビュー当時は役者という仕事に対し、現在とはまったく異なる想いを抱いていたという。

「15歳でデビューした当初は『いつ辞めてやろうか』とずっと考えていました」