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2021/02/20

source : 文春新書

genre : ニュース, 国際, 社会, 読書

ボディタッチとジーンズはNG

 しかし、メーガン妃も人の子、完璧ではない。

 話を聞いたのはウィリアム・ハンソン氏。30歳前後と若いが、イギリス王室伝統のエチケットの専門家としてイギリスメディアではおなじみの存在だ。エチケットの専門家だけあり、スリーピースのスーツをばっちりと着こなしている。髪もきれいになでつけていて、こちらがそういう目で見ているだけかもしれないが、実に品がよく見える。

「メーガン妃がよくヘンリー王子と手をつないでいる姿を目にしますが、伝統的な王室のプロトコル(儀礼)では人前で手をつなぎません」

©iStock.com

 公務などの際、ヘンリー王子とメーガン妃が手をつないでいる姿がとにかく目立つ。ロイヤルウェディングでも、メーガン妃は礼拝堂で式の間ずっとヘンリー王子の手を握っていたが、これはイギリス王室ではマナー違反だという。たしかにエリザベス女王とフィリップ殿下、あるいは兄ウィリアム王子とキャサリン妃でさえ、人前では基本的に手をつながない。

 アメリカ出身のメーガン妃はボディタッチについての感覚が違うのだろう。ヘンリー王子の公務に同行し始めた当初は、一般の人と気軽にハグをし、批判されたこともあった。

 イギリス王室のプロトコルは厳しく、たとえばエリザベス女王の体に触れることは認められていない。2017年にカナダのジョンストン総督が、階段を降りようとした女王の腕をとったところ、批判されてしまった。足元が悪かったため女王がつまずかないようにという配慮だったが、とにかく体に触れてはいけないのである。

 ハンソン氏はさらに、メーガン効果を生み出したあのジーンズについても指摘した。

「ロイヤルファミリーは公務の際にジーンズを選びません」

 そしてこう付け加えた。

「ロイヤル・プロトコルとはつまり、前例を踏襲することです。メーガン妃が自分のやりたいように振る舞ってしまうと、いろいろ問題も起きてしまいます」

自分で車のドアを閉めることが非難の対象に

 ロイヤルウェディング後もこんなシーンがあった。

 単独で公務に臨んだメーガン妃が、車から降りた際に自分でドアを閉めたところ、大きなニュースになったのだ。自分でドアを閉めるとは、なんて庶民的なんだという好意的な記事かと思ったら、そうではなかった。ロイヤルファミリーは自分でドアを閉めないし、閉めてしまうとドアを閉める人の仕事を奪ってしまう、という批判的な記事になっていた。

「自由の国」アメリカから、イギリスのなかでも最も伝統的な王室に入ったメーガン妃の気苦労は想像に難くない。