母に対する絶大な信頼
トーマスさんの照明マンとしての仕事は順調だったようで、テレビ業界にとってのアカデミー賞であるエミー賞を受賞したこともあった。一家はロサンゼルス郊外のセレブに人気のある地域に住み、比較的裕福だったという。
しかし結婚は長く続かなかった。メーガン妃が6歳の時に両親は離婚し、メーガン妃はドリアさんに引き取られた。
その後ドリアさんはシングルマザーとして南カリフォルニア大学を卒業し、ソーシャルワークの修士号を取得。高齢者を対象にしたセラピストとソーシャルワーカー、さらにヨガインストラクターとなった。メーガン妃が母に絶大な信頼を置いているのは、自分を育てるために苦労してきたその姿をずっと見てきたからだろう。
11歳でCMに抗議の手紙
幼少期のメーガン妃を語るうえで有名なエピソードがある。11歳の時、小学校の社会科の授業でP&Gの食器洗い用洗剤のCMを見た時のことだ。CMにはこんなフレーズがあった。
「アメリカ中の女性が油まみれの鍋と格闘しています」
そこで我が社の洗剤を使えば油との格闘ともオサラバ、というCMだったが、メーガン妃にとってこのCMは、女性は台所にいるものだ、と定義しているように感じられた。
疑問に思うだけでなく、メーガン妃はある行動に出た。当時のファーストレディであるヒラリー・クリントンとP&Gに対し、抗議する手紙を書いたのだ。すると、その後1ヶ月もしないうちに、そのCMは「女性」という言葉が「人々」に変わったという。
メーガン妃はのちにこう語っている。
「私なんかでも声をあげることで、社会を少しでも変えることができるんだと知りました」
女性の権利について活動することになる、彼女の原点となった出来事だった。