イギリス王室入りするメーガン妃の配慮
「メーガンさんが公務で穿いているのはそちらのジーンズですか? と聞かれました。それで、彼女が私たちのジーンズを穿いたことを知りました」
ハイアットさんによると事前に王室から連絡があり、メーガン妃がヒウト・デニムのジーンズを穿くかもしれないと伝えられていたという。しかしそれがいつなのか、あるいは本当に穿くのかは知らされていなかった。どういう電話だったのか、さらに詳しく聞こうとしたが、それ以上は教えてくれなかった。王室とのやりとりには、いろいろ制限があるようだ。
メーガン妃が穿いたジーンズは私たちが訪れたときもまだ人気で、1500人が注文待ちをしており、今注文しても届くのは3ヶ月後ということだった。
なぜメーガン妃はわざわざヒウト・デニムのジーンズを選んだのか。
製造業が衰退しているイギリスでは、衣類などの製造は海外で行う企業がほとんどだ。たとえばジーンズの場合、イギリス国内で生産しているブランドはヒウト・デニムともう1社しかないのだという。ウェールズを初訪問する際に、わざわざウェールズで生産されている数少ない“メイド・イン・UK”のジーンズを選んだところに、イギリス王室入りするメーガン妃としての配慮がうかがえる。
一時は新たな雇用まで創出した「メーガン効果」
ヒウト・デニムがわざわざ辺鄙なカーディガンに工場をおいているのには、理由がある。もともとカーディガンには、イギリスの人気スーパーであるマークス・アンド・スペンサー向けのジーンズ工場があったという。しかしやがて工場は閉鎖され、ジーンズ職人たちは仕事を失ってしまった。そこに目を付けたヒウト・デニムが、彼らを雇用して新たに工場を作ったのだ。
ヒウト・デニムはオンライン販売に特化しており、実店舗を置かない戦略をとっている。そのため工場が田舎にあっても全く困らないのだという。まさにインターネット世代の典型的な成功例だと感じた。
注文待ちが続いていることを受け、ヒウト・デニムでは従業員を増やすことを計画しているという。1本2万8000円のジーンズを売り切れさせるだけでなく、新たな雇用まで創出する。メーガン効果、出来すぎの感すらある。