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2021/02/20

source : 文春新書

genre : ニュース, 国際, 社会, 読書

 キャサリン妃は出産当日の朝に入院し、その日の夕方にはヒールを履き、フルメイクでカメラの前に赤ん坊と現れ、笑顔を見せていた。私の娘の出産時の妻のくたびれ具合からすると、信じられないほどの超人ぶりだと感じたのは事実だ。

 ただキャサリン妃ももちろん楽にこなしているわけではなく、あの笑顔のウラには相当な努力があったに違いない。王室の一員としての使命感だろう。まるでダイアナ元妃やキャサリン妃のこうした努力を全否定するようなメーガン妃の行動は、私にはどうしても理解できなかった。

誕生の報告はインスタグラムから

 そして出産当日。

 通常、ロイヤルベビーが誕生する際には「陣痛が始まり病院に入った」というタイミングと「誕生した」の2回、王室から発表が行われる。陣痛が始まったという情報を受けて各テレビ局が病院前での中継を始め、お祭り騒ぎとなる。

 今回陣痛の発表があったのは午後2時半ごろだった。そしてそのわずか30分後にヘンリー王子とメーガン妃の公式インスタグラムで、続いて王室から出産が発表された。

©iStock.com

 3260グラムの男子の誕生を受け、ヘンリー王子がウィンザーでイギリスメディアのインタビューに応じた。

「メーガンと私は元気な男の子を授かりました。かわいくて仕方ないです。これまで想像したことがないほどすばらしい経験でした」

 父親になった喜びを隠しきれない様子のヘンリー王子に、私は何ともほほえましい気持ちになった。この日はカメラの前に登場したのはヘンリー王子だけで、事前の情報通りメーガン妃と男の子のお披露目はなかった。

「ウソ」の発表

 一方で、意外な事実が明らかになった。

 普通、陣痛の発表から出産までは数時間かかる。キャサリン妃がルイ王子を出産した時も、陣痛の発表から出産までは3時間ほどあった。それが今回は30分である。それにしても早かったなと思っていたら、なんと陣痛の発表の9時間前には男の子がすでに誕生していたことがわかった。つまり2人は「ウソ」を発表していたのである。

 イギリス王室とメディアの間には、ダイアナ元妃の事故死という悲劇があったためか、しっかりとした取材ルールが確立されている。王室が情報を公開する代わりに、メディアの側もロイヤルファミリーを追跡したり、我先にマイクを突き付けたりということをしない。お互いを尊重しあう非常にいい関係だと感じていたが、この「メディアにウソを伝える」というメーガン妃の行動は明らかに信頼関係を損ねるものだ。

 また出産についての発表文には「現在夫妻たちはフロッグモア・コテージにいる」と書かれていた。一瞬自宅で生んだのかと思うが、よく読むとどこで出産したのか明言を避けていることがわかる。ロイヤルベビーが誕生するとバッキンガム宮殿の前に医師のサイン入りの証明書が掲示されるが、この証明書の医師の欄もわざわざ空欄にするという徹底ぶりだった。なぜ出産後も出産場所を隠さなければいけないのか、私にはまったく理解できなかった。