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 2019年8月に発表されたYouGov社の世論調査によると、イギリス王室でもっとも人気があるのはエリザベス女王で72%だった。ヘンリー王子が71%、ウィリアム王子が69%で続く。ヘンリー王子は依然上位3人に入っているものの、前年の調査では77%だったので6ポイント下落した。

 一方のメーガン妃は49%だった。前年は55%だったので、やはり6ポイント減だ。

 もちろん1年で6ポイント上下するのは誤差の範囲といえるかもしれない。しかしとくにメーガン妃の支持率は不人気とされるチャールズ皇太子(48%)と同水準であり、メディアで大きく取り上げられている割には、イギリス国民がシビアな見方をしていることがよくわかる。

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女王の「決断」

 ロイヤルファミリーは毎年クリスマスになるとエリザベス女王の私邸であるサンドリンガム・ハウスに集まり、一緒に休暇を過ごすのが慣習となっている。イブにプレゼントを交換しあい、クリスマス当日には揃って近くの教会を訪れる。そして午後にはテレビで放送される女王のクリスマス・メッセージを視聴するのだ。

©iStock.com

 2017年のクリスマス礼拝は、まだ結婚前にもかかわらずメーガン妃が参加したことから注目された。2018年のクリスマス礼拝も、不仲説がささやかれていたキャサリン妃とメーガン妃が揃って登場したことから大きなニュースとなった。王室ウォッチャーにとってまさに必見のイベントである。

 しかし2019年のクリスマス礼拝にヘンリー王子とメーガン妃の姿はなかった。2人はカナダで6週間の休暇をとっていたのだ。

 イギリスではクリスマスに家族と過ごすことは非常に重要な意味を持つ。恋人たちのイベントというよりは家族のイベントという感覚が強く、日本でいうと正月のイメージに近い。その大切な日にわざわざ「休暇」で海外に行くというのは、女王を軽視しているようにしか思えない。私はなんとなく嫌な予感がした。

高まっていた王室とヘンリー王子夫妻の間の緊張感

 さらにその日の午後に女王のクリスマス・メッセージが放送されると、机の上にチャールズ皇太子夫妻とウィリアム王子一家の写真が飾られる一方で、ヘンリー王子とメーガン妃の写真は置かれていなかった。2人とエリザベス女王との距離感はもはや明らかだった。翌年の1月8日、突然発表されたように見えるヘンリー王子とメーガン妃の「主要な王族からの引退宣言」だが、実際にはそれ以前から緊張感は確実に高まっていたのだ。

 今回の発表を受け、イギリス市民の反応は割れていた。

 バッキンガム宮殿の前でBBCのインタビューに答えた白人男性は辛らつだった。

「ヘンリー王子はメーガン・マークルに完全に支配されている。だから彼は彼女に言われたことをやっているだけだよ。公務を行う用意ができていないなら、2人の王族資格を剥奪すべきだ」