「人見知りで話しベタで気弱」を自認する新卒女性が入社し、配属されたのは信販会社の督促部署! 誰からも望まれない電話をかけ続ける環境は日本一ストレスフルな職場といっても過言ではなかった。多重債務者や支払困難顧客たちの想像を絶する言動の数々とは一体どんなものだったのだろう。

 現在もコールセンターで働く榎本まみ氏が著した『督促OL 修行日記』から一部を抜粋し、かつての激闘の日々を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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いきなり怒鳴られた時に相手に反撃する方法

 コールセンターは督促の電話をかけるだけでなく、お客さまからかかってきた電話にも対応している。ある日私のところにもお客さまからの電話が入ってきた。受電の着信を知らせる電子音が鳴りやんだその瞬間だった。

「オイコラ!! どうなってんだよー!!」

 鼓膜が破れるのではないかと思うくらい大きな声で、お客さまの声がヘッドフォンから響いてきた。

 怒鳴られたショックで、私の思考回路は一瞬にしてフリーズしてしまう。

「カードが使えねぇじゃねえか! どうにかしろ!! ××××、○○○○!!」

©iStock.com

 お客さまは何やらTVだったら放送できないようなお言葉で怒鳴り続けているが、とりあえず怒鳴りつけられたショックでこちらは頭が真っ白。相手が何を言っているのか理解できないし、こうなるともう督促の交渉どころではない。

泣き出してしまうオペレーターも

 コールセンターには毎日、こんなふうに取った瞬間に怒鳴りつけられるようなクレームの電話がかかってくる。クレームの電話を受けると、対応に慣れていないオペレーターは緊張とショックで固まって受け答えができなくなってしまう。突然のことに泣き出してしまうオペレーターもいる。

 でも私たちはこういったお客さま相手にも督促をしなければならない、フリーズしている場合ではないのである。じゃあ、相手にいきなり怒鳴りつけられた場合、どうやって立ち直ったらいいのか。

 そもそも私たちが怒鳴られると固まるのは、どうやら動物としての本能らしい。

 動物の世界ではほとんどの捕食者が動くものを標的に狙ってくるからだ。群れの中で動いた個体から狙われる。だから人間も動物として危機を感じると固まるようにできている。

「本能には勝てないだろー!!」

 私は人が怒鳴られると固まる理由を調べていた図書館で叫んだ。