文春オンライン
子育てに関わる大人は多いにこしたことはない…「3人で親になった」僕たちが経験した“妊活”とは〈「世界一受けたい授業」で話題〉

子育てに関わる大人は多いにこしたことはない…「3人で親になった」僕たちが経験した“妊活”とは〈「世界一受けたい授業」で話題〉

パパは昔、女子高生でした #2

2021/02/28
note

パパやママという役割に縛られない育児を

 この夏、NHKのドキュメンタリー番組『カラフルファミリー』で娘の誕生から現在に至るまでの日常を取り上げてもらった。その過程で本当に少しだけど、僕たちらしい家族のカタチが見えてきたような気がしている。

 番組を通じて感じたのは、それぞれが育った家族像に縛られていたのかもしれないということ。「うちの父はこう、母はこうだった」という思い出と無意識のうちに比べてしまう。たぶん、それが良くなかったのだ。

新宿歌舞伎町でとんかつ屋を営む、杉山家の次女として生まれた。小学校に入る前の家族写真(文野さんは左から2番目)

 パパママという役割や性別にとらわれず、それぞれの子育てをすればいい。そんな空気ができてから、前よりも子育てがうまくいくようになったし、互いの距離もまた少し近づいた。

ADVERTISEMENT

 もちろん娘との距離も例にもれず、僕や彼女に対するやんちゃぶりは日ごとに勢いを増す一方だ。ゴンちゃんとは以前より回数を増やし、定期的に会うようになったことで娘も安心したらしく、今では彼と公園に遊びに行く日をとても楽しみにしている。

 いいことも悪いことも逃げずに向き合って、共に乗り越えてきたからこそ、僕らの関係は簡単には崩れないという自信がある。

 いつかLGBTQの親を持つ娘が自分のアイデンティティに迷う日が来るかもしれない。その時のためにも僕は、LGBTQを含むすべての子供たちが辛い思いをしない世の中づくりのために力を尽くしていきたいと思う。

 そして彼女が愛されながら生まれ、大切な存在であることを常に実感できるような家族であり続けたい。

text:Lemon Mizushima

杉山文野 Fumino Sugiyama
1981年東京都生まれ。早稲田大学大学院にてジェンダー論を学び、その研究内容とトランスジェンダーである自身の体験を織り交ぜた『ダブルハッピネス』(講談社)を出版。東京レインボープライド共同代表理事。フェンシング元女子日本代表。

元女子高生、パパになる

杉山 文野

文藝春秋

2020年11月11日 発売

子育てに関わる大人は多いにこしたことはない…「3人で親になった」僕たちが経験した“妊活”とは〈「世界一受けたい授業」で話題〉

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春WOMANをフォロー