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 厚生労働省の2017年の統計によると、子宮頸がんを患う女性は年間1万1000人、死亡者は約2800人。2020年9月、大阪大学大学院医学系研究科の八木麻未特任助教(常勤)、上田豊講師(産科学婦人科学)らの研究グループはさらに衝撃的な数字を発表した。子宮頸がんワクチンの公費助成世代の接種率と、一時差し控えが決定して以降の接種率を元に発症者数、死亡者数を試算したところ、接種率が大幅に低下した2000~03年度生まれの女性の間で、患者が合計約1万7000人増加、死亡者が約4000人増加すると推計されたのだ。

「キャッチアップ制度の実現が1日遅れるたび、1日3人の高校1年生が命を失う将来を作り出している」と、高橋医師は警告する。

自費で子宮頸がんワクチンを打つと約5万円の費用に

 それほど深刻なら自費で早く打てばよいという声もあるが、そこに立ちはだかるのが「費用」と「親」の壁だ。自費で子宮頸がんワクチンを打つとなると、3回で約5万円、昨年承認されたより予防効果の高い9価ワクチンだと3回で10万円かかる。

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©️iStock.com

 同じく「たんぽぽ」に所属するMさん(20歳)は話す。

「私の場合、半年に1回奮発して買う化粧品の価格が6000~7000円。5万円となるとこれまでの人生で一番の大きな買い物になり、打ちたい気持ちはあっても、簡単には打てません」

 前出のTさんも続ける。「私は今一人暮らしをしていて、生活費はバイトをしながら自分で工面しています。5万円もの大金を自分で払うのはかなり躊躇してしまいます」

 親にお金を出して欲しくても、副反応報道によってネガティブなイメージを抱えたままの母親を説得することは容易ではない。

「もともと性に関してオープンに話す家族ではなくHPVワクチンについて話す機会がなかったのですが、先日やっと電話で母に話をすることができました。母はとても真剣に聞いてくれましたが、実際に打つかどうかについては、“直接会って話そうね”と、とても慎重な感じでした。今はコロナの影響で帰省できず、話が進んでいません」(Tさん)。このままだと、彼女たちは子宮頸がんに罹るリスクと不安を常に抱えながら生きていかなくてはならない。