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あのとき、「子宮頸がんワクチン」を打たせてもらえなかった少女たちはいま

3月4日は「国際HPV啓発デー」

2021/03/04
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接種率は約70%から1%以下に

 子宮頸がんは、多くは性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因だ。女性の8割以上が生涯に一度は感染するが、ほとんどは感染者自身の免疫力で消える。しかし、中には感染が持続するケースもあり、その場合は前がん病変を経て、子宮頸がんに至る。

 接種することで子宮頸がんを防ぐHPVワクチンは、日本では2013年4月に小学6年生~高校1年生相当の女子を対象に定期接種に組み入れられた。しかし、接種した少女たちから痛みや発作、失神などの訴えが報告され、厚生労働省は同年6月に「定期接種の積極的勧奨の一時差し控え」を決定。定期接種導入時に約70%あった接種率は、今では1%以下に落ち込んでいる。

©️iStock.com

 一方、世界ではHPVワクチンはすでに100カ国以上で接種され、スウェーデンでは浸潤性子宮頸がんの予防効果が実証されるなど、有効性に関する報告が相次いでいる。副反応については2015年、副反応とワクチン接種の間に直接の因果関係がなかったとされる調査結果が日本で報告された(名古屋スタディ)。これまでHPVワクチンにマイナスイメージを持っていた彼女たちが、なぜ今接種を求めるようになったかというと、こうした科学的な事実を知ったからだ。自身の気持ちの変化についてUさんはこう語る。

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1日3人の高校1年生が命を失う将来

「サークルに入って高橋先生からHPVワクチンの有効性や副反応の程度に関する事実を初めて教わり、さらに“私たちの1個上の先輩たちはほぼ全員定期接種で打っている”という事態を知って、何ということだ!と強い衝撃を受けたんです。自分たちが先輩と同じ道を歩んでいないんだということに、とても不安を感じるようになりました」

 同じサークルのNさん(20歳)はこう話す。

「私の場合は、打ちたくないというよりも、HPVワクチンのことをよく知らないから、そもそも打つという選択肢すらなかった。大学生になって初めて正しい知識に触れ、これは打たなくてはだめじゃん!と強く思うようになったんです」