「白人」「金髪」「上流階級」「モデル」「女優」……
こうした「交際相手」については、デイビーとボナスを除いてはヘンリー王子本人が認めているわけではない。しかしイギリスメディアの報道を見比べると、ここに挙げた女性たちについては「交際相手」と認定することに異論がないように思う。
このほかにも「噂」にのぼったお相手がいる。真偽のほどは確かではないが、大物では女優のエマ・ワトソン、女優のジェニファー・ローレンス、ギリシャのマリア=オリンピア王女。さらに衝撃的だが、キャサリン妃の妹であるピッパ・ミドルトンとの関係も噂されていた。
そして2016年7月にメーガン妃と出会って一目ぼれし、めでたくゴールイン、という流れである。いずれにせよ、メーガン妃と出会った当時、ヘンリー王子には“公式な”交際相手がいなかった。
ヘンリー王子の女性遍歴を見ていて気付くのは、「白人」「金髪」「上流階級」「モデル」「女優」というキーワードである。王子の好みが窺えて興味深いが、「黒人系」「庶民出身」であるメーガン妃が異質の存在であることがよくわかる。
「ザ・サン」紙は、こう評している。
「ブロンドの女性ばかりとデートしてきたヘンリー王子にとって、ブルネットであるメーガンはそれまでとはタイプが異なる」
なぜメーガン妃に惹かれたのか。私はイギリスのベストセラー作家、アンドリュー・モートン氏に話を聞いた。
1992年に彼が執筆した『ダイアナ妃の真実』(邦訳・早川書房)は、チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃の結婚生活の破綻を暴露し、ミリオンセラーとなった。日本でも出版されたので、お読みになった方もいるかもしれない。彼は新たに、メーガン妃の伝記本『メーガン ハリウッド・プリンセス』を執筆したばかりだった。関係者を丹念に取材し、メーガン妃の生い立ちや人物像、ヘンリー王子と出会った経緯などについて解き明かしている。
“暴露本”の作者ということで、あくの強い人物を想像していたが、実際に会ってみると非常に紳士的でスマートなことにやや意外な印象を受けた。
亡き母の面影
モートン氏によると、この当時のヘンリー王子は「家族を持ちたい」という気持ち、つまり結婚願望が強くなっていたという。
ではなぜメーガン妃に惹かれたのか、という私の質問にモートン氏はこう答えた。
「その答えはヘンリー王子に聞くべきですが、王子は彼女の賢明で、表現力豊かで、情熱的なところに惹かれたのだと思います。そして、イギリス王室の王子と話しているにもかかわらず気後れしないところにも」
そして彼はこう付け加えた。
「王子はメーガン妃が、ソウルメイトだと感じたのです」
ソウルメイトというのは英語の造語で幅広い意味を持つ言葉だが、直訳すると「心の友」となる。
ヘンリー王子の母ダイアナ元妃は、HIV患者の支援や地雷除去など慈善活動に力を注いでいた。その遺志を継ぎ、ヘンリー王子もアフリカの子供たちやHIV患者の支援など、慈善活動を積極的に行っている。
一方のメーガン妃も、女性の人権問題やアフリカ支援の活動に関わってきた。ヘンリー王子はメーガン妃に、亡き母の面影を見たのかもしれない。
※肩書きや名称は書籍刊行時のままです。
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