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婚約発表ではベタベタと見つめあい… “プレイボーイ”のヘンリー王子が「年上、バツイチ」のメーガン妃を選んだわけ

『ヘンリー王子とメーガン妃 英国王室 家族の真実』より #3

2021/03/09

source : 文春新書

genre : ニュース, 国際, 社会, 読書

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 公務から身を引き、アメリカで新生活を始めたヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱後初インタビューが話題を呼んでいる――。衝撃的だったのは、イギリス王室が子供の肌の色が「どれだけ濃くなるか」に懸念を抱いていたと告白したことだ。たしかに保守派を中心に、ヘンリー王子と黒人女性との結婚を疑問視する意見はあった。しかし、いくら“王子”とはいえ、人種で結婚生活が虐げられることは許されるのだろうか。

 ここでは、日本テレビ放送網・前ロンドン支局長の亀甲博行氏による著書『ヘンリー王子とメーガン妃 英国王室 家族の真実』(文春新書)を引用。ヘンリー王子とメーガン妃との出会い、そして結婚を決意したきっかけについて紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

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ヘンリー王子のプロポーズ

 ロンドンのソーホーはレストランやパブが並ぶ賑やかなエリアだ。スリや置き引きが相次ぐ場所でもあり、このあたりのパブで飲むときには、足元の荷物が無くならないか、気になってやや落ち着かない。

©iStock.com

 このソーホーに一軒のタウン・ハウス(かつての貴族の邸宅)がある。白い外壁が印象的なジョージアン様式のこの建物は、18世紀に建てられたものだ。ディーン・ストリート・タウンハウスと名付けられたこの建物には現在、イギリスの会員制クラブ「SOHOハウス」が経営する39室のホテルとレストラン・バーが入っている。私が取材に訪れたこの日は、店の外のテラス席で紳士淑女がシャンパンを楽しんでいるところだった。

 ヘンリー王子とメーガン妃は2016年7月上旬、このレストランで知人の紹介により初めて出会った。建物は素敵だが、周辺は歓楽街特有のゴミゴミとした感じがあり、とてもロイヤルファミリーが訪れるエリアとは思えない。

 ヘンリー王子は世界の王室の中でも1、2を争うプレイボーイだった。またメーガン妃も離婚後に様々な男性との浮名を流していた。それにもかかわらず、出会ってわずか16ヶ月で2人は婚約した。ウィリアム王子とキャサリン妃が結婚するまでに10年かけたのに比べると、いかに“スピード婚”だったかがわかる。

 メーガン妃がヘンリー王子を選んだ理由はわかるような気がするが(なんと言っても、リアル王子、である)、なぜヘンリー王子は「年上、バツイチ、黒人系」であるメーガン妃を選び、年貢を納めたのか。

なぜメーガン妃を選んだのか

 2017年11月27日朝。支局でコーヒーを飲んでいると、パソコンにメールが届いた。王室からだ。タイトルは「エンゲージメント・アナウンスメント」、つまり婚約発表となっている。あわててコーヒーを置きメールを開くと、3本の羽根が特徴的なチャールズ皇太子の紋章が目に飛び込んできた。発信元はクラレンス・ハウス、チャールズ皇太子の住む宮殿だ。

米CBSテレビのインタビューに答えるヘンリー王子と妻メーガン妃 ©共同

 メールにはこう書いてあった。

「チャールズ皇太子殿下はヘンリー王子とミス・メーガン・マークルの婚約を発表できることを大変うれしく思う。

 結婚式は2018年の春におこなわれる。結婚式の日にちは追って発表する。

 殿下とミス・マークルは今月ロンドンで婚約した。ヘンリー王子は女王や他の家族にも婚約を伝えている。ヘンリー王子はミス・マークルの両親からも祝福を受けた」

 このメールを読み終えるのとほぼ同時にBBCが速報で婚約を伝えた。私も東京に連絡し、用意していた予定原稿を送った。

 婚約を発表した2人はこの日の午後、ケンジントン宮殿の庭に手をつないで現れ、ツーショットを披露した。印象的だったのは、メーガン妃がずっとヘンリー王子の左腕を抱きしめていたことだ。時折2人で見つめあうなど、とにかくベタベタしている。