食べられるものなら基本OK「春夏はちょっと攻めている」
ーー再現度もそうですが、他社ではありえないチャレンジ精神を感じます。「夏野菜チョコレート」なんて、まず手を出さないのでは、と。
松尾 出さないと思います(笑)。特に春夏のフレーバーはちょっと攻めているんです。
チョコレートは秋冬のほうが圧倒的に売り上げが大きいので、秋冬で一つコケると結構痛手なんですけど、春夏はもともとの分母が小さいので、少しチャレンジングな商品を出しています。「チロルが面白いことやってるね」と思ってもらえるメリットもあると思うので。
ーーこれだけは出せないといったフレーバーはあるのでしょうか。
松尾 ないですね。ただし、原料に〈エビ〉と〈カニ〉は使わないようにしています。〈エビ〉と〈カニ〉を使うと、同じ工場で作っているすべての商品をエビやカニアレルギーの方が食べれなくなってしまうので。
ーーじゃあ、食べられるものだったら。
松尾 基本的には大丈夫です。あるお店のミネストローネが美味しいなんて話を聞いたら「やってみようか」となりますし、「まだパスタはやってないよね」「カルボナーラとかどうなの?」とか手を出していないジャンルがあったら話し合いをします。
ーーおにぎりとかどうですか。
松尾 発想としてはアリですね。ただ、ご飯の味って表現しにくいので現実的には難しいと思います。
でも、正直なところネタがなくなりつつあるので、それぐらいのレベルで発想していかないと。おそらく大手さんも含め、フレーバーだけでいうと出尽くしている感はあるので。開発が年々難しくなっています(笑)。
もちろん、味以外にもいろいろと試行錯誤しています。昨年8月には〈ミルク〉を食べやすいよう薄くハーフサイズにカットした袋詰めの「ミニミルク」、9月にはチロルチョコを台形のまま約24分の1サイズにした〈ミルク〉〈いちご〉〈バナナ〉〈メロン〉〈きなこ〉の5種類を1袋に納めた「プチロル」も販売しています。食べやすいサイズで好評です。
【後編を読む】中国で売れまくっているのは〈甘くないスイカ〉味…国民的お菓子・チロルチョコの海外での反応は
撮影=石川啓次/文藝春秋
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。