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一生続けられる仕事を探して

 いくつかの資格を検討した。だが、少し勉強するだけで取れるような資格は、すぐに役に立たなくなると思った。一生働きたいと願う亀石には、そんな資格が通用し続けるとは思えなかった。

 小さいころから「何者かになりたい」と思って生きてきた。誰ともなじめなくても「どこかに自分がいるべき場所があるはずだ」と思い続けてきた。その願望と、一生続けられる仕事という条件に合致したのが弁護士だった。亀石が弁護士に目標を定めたのは、会社を辞めてから3ヵ月後のことだ。

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 2001年4月から司法試験予備校で学び、2年間猛勉強を重ねた。2003年の旧司法試験で「択一式試験」に合格。しかし、論文試験はまったく歯が立たなかった。2年間必死に勉強すれば、マークシート式の試験には合格できる。でも、論文試験に受かるほどの法的思考力はほとんど身につかなかった。

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 このままでは受からない。悩んだ末、法科大学院で勉強する道を選択する。

刑事弁護人にしか明らかにできない“真実”

 2004年に法科大学院を受験、公立・私立などいくつかの合格証書を手にした。学費のことも考え、公立の大阪市立大学の法科大学院を選んだ。2年間の法律既習者コースで学び、2007年の新司法試験を受験する。不合格。翌年ふたたびチャレンジ、合格者2000人余りのなかで1800番台というギリギリのラインで合格。2008年12月から司法修習生として1年間の研修を受け、2009年12月に修了し弁護士登録を果たす。弁護士を志してから、9年が経とうとしていた。

 法科大学院時代に有能な刑事弁護人に出会った亀石は、彼らにしか明らかにできない真実があることを知る。以降、刑事弁護人になることを目標に定めた。男社会の弁護士業界、若くもない、司法修習生としての成績も悪い。とても採用されるスペックではなかったが、刑事弁護人になりたいという熱意を買ってくれた大阪パブリックに採用された。こうして2010年1月、亀石は弁護士としてのキャリアをスタートさせた。