ニコ スタッフさんからすると、差し入れってアリなんですかね? 家族からの労いの言葉も気軽にかけていいものなんでしょうか?
安藤 いろんなタイプのスタッフがいると思いますけど、私はめちゃくちゃ嬉しいですね! 信頼してもらってるんだから頑張ろうっていうのは原動力になると思います。この人になら任せられるって言ってもらえるのが一番理想ですもん。家族も認知症の方もスタッフも、みんな人間なので、お互いに認め合える、信じ合える関係を築きたいという気持ちは共通しているんじゃないかと思います。
介護はクリエイティブな仕事
ニコ 以前、祖母の施設に行ったときに、ちょうどオムツ交換をしていて、スタッフさんが自作の道具でお尻をゆすいでくれていたんです。ペットボトルからお水が出るようになっているものなんですけど、市販の道具より早く作業が終わるし、祖母も気持ち良さそうだったんですよね。介護職って、創意工夫と気遣いに溢れていて、すごくクリエイティブな仕事だと思いました。
安藤 私も、夜間介護でオムツ交換する仕事をしている時に、一緒に働いていたヘルパーさんから、利用者さんが快適に寝るための工夫をたくさん教えてもらいました。寝ぐせや体の傾きにあわせてオムツの畳み方や重ね方を変えるといいよって。
ニコ すばらしいですね! 「介護される側が少しでも気持ち良く過ごせるように」という精神で、一つ一つ自分で試行錯誤してくださってるんですよね。それってきっと教科書に書いてないことだと思います。介護の仕事って、人生を豊かにしてくれる仕事ですよ。だからこそ、国は待遇をなんとか改善してほしいですよね。介護職の方がいなかったら、私は仕事を続けてられなかったですし、この『マンガ 認知症』も出てないですもん。
安藤 本当に、もっとお金を入れてくれよって思います。今回この本を読んで、介護をする上で知ることって大事だなとあらためて感じました。明るく学べる本なので、若い方、これから介護職に就かれる方にも、幅広く読んでほしいですね。
ニコ この本は、自分が一番辛かった時に本当に知りたかったことを正直に描きました。私自身、認知症の人の心の仕組みを知ることで、病気だから我慢するしかないというところから抜け出すことができて、本当に気持ちが楽になりました。私のマンガが、同じようにしんどい思いをしている方の力になれば嬉しいです。
安藤 現場や実体験に勝るものはないと思うので、ニコさんにはこれからも介護や認知症について描き続けていただきたいです!
ニコ ありがとうございます! 本を通して、こうやってお話しできて光栄でした。