コロナ感染防止の外出制限が続いたこの1年。生活習慣の変化により、認知症の症状が悪化する方が増え、介護する側の負担は大きくなるばかり。長期化する日々の介護のなかで、少しでも気持ちを楽にするにはどうすればいいのか?

 

 長年介護のお仕事に携わってきた安藤なつさん(メイプル超合金)と、認知症の祖母の介護経験を描いた『マンガ 認知症』(ちくま新書)が話題のマンガ家のニコ・ニコルソンさんが、知られざる介護の実情と率直な思いを語り合いました。

※写真はイメージ ©iStock.com

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認知症の人の心の仕組みを知ることで救われた

安藤 私は中学生の頃から、親戚が運営する介護施設でボランティアをしていました。お手伝いしてもなかなか着替えてくれない認知症のおばあちゃんがいたんですけど、毎週あきらめずに通い続けていたら、ある時から急にすんなり着替えてくれるようになったんです。自分の存在を認めてもらえたようですごく嬉しくて、介護の仕事の楽しさを知りました。それがきっかけで、20歳の頃にヘルパー2級の資格をとって、深夜の巡回介護や施設の夜勤をやってきました。『M-1グランプリ』決勝前夜も、夜勤のお仕事をしていましたね。

ニコ M-1決勝、見てました! 実は、その時にイラストを描いていて……。

ニコ・ニコルソンさんのTwitter(@niconicholson)より

安藤 かわいい! 毬になってる!

ニコ 勝手にメイプル超合金のお二人を絵に描くくらい好きだったんですよ。だから今日はお話しできて嬉しいです。

安藤 ちょっと過去形にしないでください(笑)。でもありがとうございます。

ニコ 私は3.11で実家が流されてしまい仮設暮らしになったことがきっかけで急速に認知症が悪化した祖母を、母と二人で介護していました。介護が続くなかで、母の疲れも限界になり祖母に対しての言葉も荒くなって、私も精神的にきつくなってきてしまって……。

 このままだと共倒れになるなと思っていた時期に、『マンガ 認知症』を監修してくださった佐藤眞一先生の本に出会って、本当に救われた気持ちになりました。いま同じように辛い思いをしている方にその経験を伝えたい、そんな思いで『マンガ 認知症』を描きました。