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「コロナで認知症の祖母とはもう1年会えていない」“長期化する介護”をイメージで語る人が知らないこと

コロナ禍の介護、少しでも気持ちを楽にするために“読んでほしい漫画”

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, ライフスタイル, 芸能, 読書, 医療

ニコ サポートしてくれる第三者を入れた方がいいというのは分かっているんですけど、介護中はとにかく余裕がないので、どうすればいいのか考える気力すらなくなるんですよね。だから少しでも余裕のある兄弟、親戚などが一緒に調べたり考えたりして整えてあげてほしいですね。

安藤 介護する側・される側が一対一だと、どんどん思考が固まっていってしまいますもんね。

『マンガ 認知症』あとがきp.267より

ニコ いまは祖母を特別養護老人ホームに預けているんですけど、自分たちができることとできないことを知るのも大切だと思いますね。3.11の震災で家を流されて仮設暮らしをしていた時に祖母が「家に帰りたい」と言うので、何とか願いをかなえてあげたくて母と実家を建て直しました。でも実家に戻っても、祖母の「家に帰りたい」は止まらなかったんです。

 その後の佐藤先生への取材のなかで、認知症の方が言う「帰りたい家」というのは安心できる場所のことで、祖母の頭の中にしかないのだということを教えてもらいました。頭の中にしかない家は、どうしたって用意してあげることはできないですよね。祖母の希望をすべて叶えてあげることは不可能なんだと心の整理ができたのも、私と母の気持ちを楽にする上ですごく大きかったです。祖母の「家に帰りたい」を、言葉通りの意味で受け止めたまま施設に預けてしまっていたら、いまも罪悪感と闘っていたかもしれないです。

コロナで祖母とはもう1年会えていない

安藤 今は気軽に外食もできないですし、気分転換を探すのが難しいですよね。認知症の方は息苦しかったらマスクを取っちゃいますし、「コロナのウイルスがついてるから手を洗って」と言っても分からないでしょうし。施設介護の現場はいま本当に負担が大きくなっていると思います。

ニコ コロナの影響で、私は祖母にもう1年以上会えていないんです。テレビ電話も祖母が疲れちゃいますし、私の顔ももう判らないので、難しいんですよね。でも施設のスタッフさんが、祖母の誕生日の時に「みんなでお祝いしましたよ」という写真とお手紙を送ってくださったんですよ。

ニコ・ニコルソンさん

安藤 それはめっちゃ嬉しいやつですね! 

ニコ 祖母の楽しそうな顔が見られて、本当に嬉しかったです。マスク一つ、手洗い一つ大変ななかで、祖母の写真を送ってくれる施設のスタッフさんは、私にとってもはや第三の家族みたいな存在なんですよね。だから、ちょっとでも感謝の気持ちを伝えたいと思って、先日カップラーメンを箱で送りました。信頼してますよっていう証として、言葉だけじゃなくモノも送りたいという気持ちがあります。

安藤 カップラーメン! ありがたい!