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――“孤独”が犯罪に手を染めるきっかけになりやすいと。

中村 子供たちが立ち直るために大切なのは、“独りじゃない”、“自分を認めてくれる人がいる”と思えるようになること。そのために、子供にとって信頼できる大人がちゃんとその子と向き合うことで、彼ら自身も変わっていけると信じています。

 特に不良系の子は、“自分のことを思ってくれてるかどうか”に敏感なんですよね。単純に、この人は自分のことを好きだって感じたら、自分も好きになれる。生活の支援をしてくれるとか面倒を見てくれるとかじゃなくても、自分のことを思ってくれる気持ちが伝われば、その人を裏切りたくないっていう心が育つはずです。

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 生まれたときから不良なんて人はいないですからね。一人で変われる力を持った人もいるかもしれないけれど、人との関わりはとても大切です。

(※写真はイメージ) ©️iStock.com

 そういった意味では“子供を変える”、“社会を変える”、この2つに優先順位はなくて、同時に変えていかなければいけない課題かなと思いますね。子供に“独りじゃない”と感じさせるのも大切。一方で「助けて」と言えない子に手を差し伸べられる環境を作るのも同じくらい重要です。

映画化と著書出版 思いがけない少年院側の変化

――映画の制作、そして書籍化。反響は大きかったそうですね。

中村 映画を観てくれた人にアンケートをとったら、「家に帰って子供と話したくなった」とか、学校の先生からは「自分にもっとできることがあるんじゃないかと思った」というコメントを頂きました。本を読んだ中高生からは「司法を学びたいです」、「Zoomで話が聞きたいです」というようなメールも。

 私が作ったもので、何かしらを伝えることができたんだなって実感しましたし、若い子が高い意識を持ってくれているってことがわかってとても嬉しかったです。

 

――では、活動を続けていくなかで中村さんが社会に感じた変化は?

中村 かつての少年院は、“ここを出たら、もう2度と戻ってくるんじゃないよ”っていうスタンスだったんですけど、今はむしろ出てからが大事だという考えに変わってきていて、退院後のケアを重んじるようになっています。

 やっぱり退院してからの社会環境は大事であってそこで築く人間関係が大切。それは『セカンドチャンス!』として活動していくうえで“社会に出てからこうして更生できた”という事例を発信し続けたことで浸透させられたと思います。