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東海道線に107年ぶりに誕生する“ナゾの新駅”には何がある? 白亜の建物、巨大な更地…

2021/03/18
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「駅を作るっていう計画はもう何年も前からあるんだよ。もともとはタケダさんの工場が移転するのを引き止めるために計画したんじゃなかったかな。でも、工場は出てっちゃったし、そのあと研究施設になったみたいだけど、何をしてるのかよくわからないね」

「湘南アイパーク」は、地元民にも謎の施設と捉えられているようだ。

「あっちの車両工場の跡も再開発するっていうけど、あそこは鎌倉市だから私はよくわからん」

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巨大な更地に鎌倉市役所を移転する?

 男性が言っているのは鎌倉市の深沢地区にあった「東日本旅客鉄道 大船工場」の跡地のこと。国鉄時代から操業していた車両基地であったが、2006年3月に閉鎖され、その跡は広大な空き地となっている。

「東日本旅客鉄道大船工場」の跡地。かなり広いエリアが更地になっており、再開発計画が進められている。

 鎌倉市はここを再開発する予定で、住居や商業施設を誘致するだけでなく、鎌倉市役所を移転させる計画も発表されている。

「村岡新駅」からは少し離れているが、「村岡新駅周辺地区まちづくり方針案」によると、この深沢地区までを「シンボル道路」でつなぎ、そこに「次世代交通の積極的導入を検討」しているそうだ。

 このような規模の計画であるため、今回の新駅開発はJR東日本と、神奈川県、藤沢市、鎌倉市の4者合同事業となっている。概算事業費は150億円で、これをJRが15%、神奈川県が30%、藤沢市と鎌倉市がそれぞれ27.5%ずつ負担する形となっている。

大船工場の近くには、ややこぢんまりとした「鎌倉青果地方卸売市場」があった。花卉なども扱っているようだ。

 深沢地区の周辺は、現在は大きな商業施設はなく、小規模な鉄工所や老人ホームばかり。青果市場があるがさびれていた。ただし狭い道でも車の交通量は多く、少なくとも区画整理をして道路をつけかえる意味はありそうだ。

鉄道オタクは「え? そんな駅ができるんですか?」と

 深沢地区から新駅予定地周辺に戻る途中、線路沿いで電車を撮影している男性がいた。ハンディ無線機で列車接近警報を傍受しながらカメラを構えており、なかなかのマニアっぷり。

軽快に走り抜ける湘南新宿ライン。現状では湘南アイパーク以外に目立つ建物もないので、電車を撮るのに向いている場所かもしれない。

 鉄道オタクなら新駅に詳しいと思い、話を聞いてみたが「え? そんな駅ができるんですか? 全然知らなかったです」とまさかの反応。

「185系という車両を使った特急踊り子号が3月で廃止になるんで、それを撮りにきました。村岡新駅? こんな所に作って意味あるんですかね」