「東海道本線」は、日本で最初に敷設された鉄道路線であり、交通の要となる大動脈。なかでもJR東日本が管轄する「東海道線」は東京駅から熱海駅までを繋ぎ、通勤・通学だけでなく都心から伊豆方面への観光などにも大いに利用されている。
この東海道線に、107年ぶりに新しい駅が設置されるという。
大船駅と藤沢駅の中間地点に設置される予定の「村岡新駅」(仮称)は、2032年ごろの開業を予定しており、このほど設置に関する基本協定が締結された。
なぜ、いまこんな場所に駅ができるのか。実際に現地に行ってみた。(取材・文=素鞠清志郎/清談社)
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1985年に廃止された「湘南貨物駅」の跡地
1925年に開業した熱海駅以来、東海道線に107年ぶりに誕生するという「村岡新駅」。
東京駅から熱海方面に向かう東海道線に乗ると、新橋、品川を経て、大船駅に停まる。大船駅は、東海道線に加え、横須賀線、根岸線、湘南モノレールとも連絡しているターミナル駅。ここから藤沢駅方面に約2.6kmほど進んだあたりに「村岡新駅」の設置が予定されている。
藤沢駅も、小田急江ノ島線や江ノ電が接続し、藤沢市の玄関口ともいえるターミナル。村岡新駅の予定地は、この人気の2駅に挟まれた場所ということで、それなりに栄えているのかと思ったが、実際に行ってみると寂しい雰囲気で、祝日の昼間ながら人影もまばらだった。
唯一の商業施設といえるのが、1階がdocomoショップ、2階にTSUTAYAが入った建屋。かつて、この周辺には「湘南貨物駅」があったという。
1969年に開業した「湘南貨物駅」は、その名の通りの貨物車専用駅。1985年に廃止され、その跡地を藤沢市が購入。住宅展示場やフットサル施設として暫定利用してきたという。