1ページ目から読む
3/3ページ目

最も大変なのは「業務に恒常的に影響する行動」の患者

「病院は突発的な大事故や、トンデモ系の出来事で来院される方もいます。そういうケースはよくテレビ番組や雑誌でも取り上げられますよね。でも、そういった患者は基本的に1度の対応で済む。実際に働く身として最も大変なのは、日常の業務に恒常的に影響が出るタイプの患者なんです」

 順番を守らない、問診票を書いてくれない、自覚なく違法行為を要求してくる…こういった人はスタッフに対し、繰り返し何度も無理を言うことが多い。そのたびに作業の手は止まり、ほかの患者への対応が遅れていく――。

(※写真はイメージ) ©️iStock.com

 特に今のようなコロナ禍においては、その負担は決して小さなものではない。そして医師法では「『正当な事由』がない限り、医師は患者の診療の求めを拒否できない」という応召義務が規定されており、いかに患者側からの無理難題が多くとも、それを理由に診療を断ることはできないのだ。

ADVERTISEMENT

スタッフには横柄な態度なのに、ドクターにはいい顔をする

 ちなみに今回話を聞いた皆さんに聞くと、こういった「モンスターペイシェント」にはある大きな共通項があるという。

「とにかくスタッフには無茶苦茶なことを横柄な態度で言ってくるのに、ドクターにはいい顔をしようとするんです。『俺はあの先生と知り合いなんだ』とか『看護師じゃ話にならない』とかを平気で口に出す。自分の中で人を差別しているんでしょうけど、そういうのって、巡り巡って自分の治療のためにもならないんですけどね…」

 当然のことだが病院の業務は医師だけでは回らない。スタッフにも医師にも、変わらずリスペクトの精神を持つことが必要だろう。

 もちろんここに挙げたようなケースはごく一部の話ではある。スタッフに聞いても、ほとんどの患者は問題なく、ルールを守って来院してくれているということだった。一方で、常識と感じる範囲は個人によって大きく基準が異なり、どこまで自分の意思を主張するのかは各々のモラルにかかっている部分が大きいのだ。

(※写真はイメージ) ©️iStock.com

 私たちの健康を守る最前線である医療機関で働く皆さんに、少しでも気持ちよく仕事をしてもらえるようにそれぞれ気を使っていきたいところだ。