新型コロナウイルスの蔓延が収束の気配を見せない。
そんな状況ということもあり、これまで以上に多くの人の注目が各所の医療機関に集まっている。
人が病院に行くときというのは、大抵が自分や家族が心身に不調を来たした時だ。ある意味で切羽詰まった状態であることが多く、だからこそ、そこでは人間性がむき出しになり、隠してきた本質が表に出てくるものだ。それゆえ、病院でのトラブルというのは枚挙にいとまがない。
こんなご時世だからこそ、「人の振り見て我が振り直せ」というわけで、病院で起きた印象的な出来事から学んでみるのもよいのでは? 実際に医療機関に勤務している、あるいはかつて勤務していた看護師・医療事務といったスタッフ達から、印象的な“ヤバい患者”について話を聞いてみた。
「待てない」と怒ったうえ「夫が担当医と知り合い」と言い張る女性
「順番を待てない人」というのはどこにでもいる。それは店舗でも病院でも変わらない。今回話を聞いた中でも圧倒的に多かったのが、そんな自分本位な人たちのエピソードだ。
「足に痛みがあるということで来院されたんですが、病院が混雑していたので、『少しお待ちになりますよ』ということを伝えると、『この足で待てって言うの? 子供がいるんですよ! そんなに待てません』とスゴい剣幕で怒りだして…。最後には『夫が担当医と知り合いなんだから、言ってきて!』みたいなことまで言いだして。実際は何度か診察を受けたことがあるという程度だったようで、別に知り合いでも何でもないんですけどね」
病院に来る患者はいずれも不調を抱えてやってきている。
当然、辛いのは自分だけではない。順番を待つというのは基本の「キ」でもある。こういった自分本位は避けたいところだ。
ちなみに「私は医者と知り合いなんだぞ!」という捨て台詞は、多くのヤバい患者の鉄板なのだそうだ。そして大抵、そういった人は実際には大した知り合いではないことが多いという。
「順番待ち」問題でさらに厄介なのが、子どもの診療に親が首を突っ込んできたケースだという。こんな話もあった。
無関係なおしゃべりをし、予定変更を繰り返す母親
「娘さんの腹痛で受診された方なんですが、待ち時間があることを伝えたにも関わらず、母親が『塾に遅れるんで待てない』と言ったかと思えば、診察室ではドクターと関係ない話をして時間がかかる。娘さんと直接話して来院予定を決めたはずなのに、母親が勝手に『この時間じゃ文化祭の練習がまだ終わらない!』と言ってはコロコロ予定を変更したりするんです」
子を思う気持ちはとても良く分かるが…そこはルールがあるのが世の中だ。しかし、子どものためには自分のこと以上に思いがあふれてしまうものなのだろうか。
「娘さんがひとりで来院した時には、診察内容についても電話で『何をしたのか教えて!』とわざわざ聞いてくる。個人情報の問題があるので、『電話で診察の内容を伝えることは出来ない』と言うと、わざわざ来院されるのですが、こんどは『どんなことを話したか聞くだけだから順番は待てない』と怒る…こちらの時間が延々と削られていき、結局ほかの患者さんへの対応が遅れてしまうんです」