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阪神が強くなるためにこのコーナーから応援したい

 以上が、長い言い訳である。お伝えしたいのは、以上のような理由で、ときどき、わが内なる「熱き阪神ファン」が顔を出すことをお許しいただきたいということ。そいつと付き合うことでしか成り立たない企画であるからだ。ささやかな編集者的抵抗として、「彼」が語り出すときの一人称を「僕」として、編集者としての「私」と区別したい。「僕」とするのは、やはり阪神ファンに没入したのは、少年、青年期だったからである。ファンとして語るとき、あのときの気持ちがどうしてもよみがえってしまう。

 おっと、その「僕」が「俺に語らせろ」と騒いでいる。スローガンは「阪神優勝! 阪神に文学を!!」に変えろと叫んでいる。どうやら、私が決めた「競争はせず、おもしろく」に反論があるらしい。私としては、「僕」の意見を踏まえ、違う言いまわしで表現したつもりなのだが。いずれにせよ、阪神が強くなるためにこのコーナーから応援したく、かつ、おもしろい読みものを掲載できるようにしていきたい。

 現時点で決まっていることは、小説家のいしいしんじさんに「阪神ファン少年野球日記」(仮)を、『声に出して読みづらいロシア人』『究極の文字を求めて』といった特異な著作をもつ奇才・松樟太郎さんに古今東西のネタと阪神を絡めたコラムを書いていただく予定だ。マンスリーゲストコラム、も考えている。また、「ファンのえんがわ」のようなノンフィクションを編集チームのほうで連載していきたい。編集チームというのは、ミシマ社の2年目、もうすぐ3年目を迎えるスガくんと私である。スガくんは横浜育ちの中日ドラゴンズファンという不思議な経歴をもつ。まあ、現タイガースの体制、矢野監督−井上ヘッドコーチラインを意識したものと捉えていただきたい。

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©三島邦弘

 さて次回は、今回あまり説明できなかったスローガンのことに触れつつ、「僕」に語らせることを許してほしい。「今年、阪神が優勝するためのプラン」をなんとしても語りたいようだ。いずれにせよ、本コーナーを成り立たせるには、一度は、「僕」のガス抜きを避けては通れない。できれば、最初で最後にしたいが、次回、開幕の回は、かなり暴走気味になる予感がある。そのことをあらかじめ伝えておきます。どうかご了承の上お読みいただければ幸いです。

 あらためまして、今シーズン、応援のほどよろしくお願い申し上げます。

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