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「コストが安い、安全だと騙されてしまった」小泉純一郎79歳が語る“原発推進派のワナ”

2021/03/23
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なぜ“騙されない仕組み”をつくれないのか

 小泉元総理は被災地支援の「トモダチ作戦」に従事したアメリカ兵が放射能を浴び、帰国後、重篤な健康被害に遭っているとし、「日本政府は因果関係はないというが、そうは思えない」と語り、うっすらと涙ぐんだ。スミス氏は、「福島における放射能被害の実態を調査しないことは問題」と指摘した。彼女には、今の福島の状況が水俣に重なって見えるのだ。自身がまとめた「水俣と福島に共通する手口十カ条」を小泉元総理に手渡した。

「一、誰も責任を取らない。縦割り組織を利用する。二、被害者や世論を混乱させ、『賛否両論』に持ち込む。三、被害者同士を対立させる。四、データを取らない。証拠を隠滅させる。五、ひたすら時間稼ぎをする。六、被害を過小評価するような調査をする。七、被害者を疲弊させ、あきらめさせる。八、認定制度を作り、被害者を絞り込む。九、海外に情報を発信しない。十、御用学者を呼び、国際会議を開く」

小泉純一郎氏(元首相) ©文藝春秋

 国が被害を受けた国民を騙そうとする手口である。しかし、騙されるのは果たして国民だけなのか。

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 小泉元総理は、「原発はクリーンだ、コストが安い、安全だと経産省から言われて頭から信じてしまった。騙されてしまった」と語り、スミス氏は「どうして騙されない仕組みをつくれないのか」と問うた。

 重要な政策決定をするにあたって、為政者が正しい判断をするためには、どうしたらいいのか。大事な問いかけであると感じた。

出典:「文藝春秋」4月号

 小泉純一郎氏とアイリーン・美緒子・スミス氏の対談「菅総理よ『原発ゼロ』の決断を」は、「文藝春秋」4月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

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菅総理よ「原発ゼロ」の決断を
「コストが安い、安全だと騙されてしまった」小泉純一郎79歳が語る“原発推進派のワナ”

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