4月1日付で、新たに2名のプロ棋士が誕生する。井田明宏新四段(24)と高田明浩新四段(18)だ。両者が夢をつかんだ3月6日の第68回三段リーグ17、18回戦の模様とともに、両者を詳しく知る先輩棋士から見た新四段の姿をレポートする。

この日、昇段を決めた井田明宏三段(左)と高田明浩三段(右) ©相崎修司

事実上は上位5名の争い

 16回戦終了時点での三段リーグ上位者の成績は以下の通り。

(18)高田明浩 12勝4敗

(20)三田敏弘 12勝4敗

(1)横山友紀 11勝5敗

(2)井田明宏 11勝5敗

(13)齊藤優希 11勝5敗

(5)狩山幹生 10勝6敗

(カッコ内数字はリーグ順位)

 3月6日朝の時点で四段昇段の可能性があったのは上記の6名だが、狩山は自身の連勝に加えて上位陣の総崩れが必要であるため、事実上は上位5名の争いと言えた。12勝の2名は一歩リードしているとはいえ、11勝の3名全員よりもリーグ順位が低いため、1敗すると一気に可能性が低くなってしまう(同星の場合は前期のリーグ順位によって上下が決まる)。最終18回戦に高田-齊藤戦が組まれていたことを考えると、ほぼ横一線の勝負である。

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 果たして午前中の17回戦で、高田、横山、狩山の3名が敗れた。この結果、昇段の可能性を残したのは13勝の三田と12勝の井田、齊藤、高田である。それぞれの昇段の条件は以下のようになった。

 三田=自身が勝つ、あるいは井田が敗れる。

 井田=自身が勝つ。

 齊藤と高田=自身が勝ち、かつ三田と井田のいずれかが敗れる。

将棋界に注目が集まっていることを改めて実感

 そして18回戦はまず齊藤-高田戦が早くに終わった。「研究会で指した形になったので自信を持って指すことができました」という高田が13勝目を挙げて可能性を残す。前期の新人王戦準優勝の齊藤でも、昇段にはわずかに及ばなかった。このことからも現在の三段リーグのレベルの高さと厳しさを垣間見ることができる。

 そして、井田の勝ちと三田の敗北が将棋会館3階で待つ報道陣に伝えられた。

 最終成績は13勝5敗で井田、高田、三田が並んだが、順位差で井田と高田が昇段し、三田は次点となった。

 藤井聡太新四段誕生の日や西山朋佳三段があと一歩で四段昇段ならずの日のほどではないとはいえ、10年、20年前と比較すると報道陣の数が段違いに多くなっていたと思う。昨今の将棋界に注目が集まっていることが改めて実感させられる。