糸谷八段が触れた通り、高田は岐阜県出身で、同県出身の棋士は長沼洋八段に続く2人目となる。
「奨励会の例会で負けて、終電で帰宅した次の日に学校に行くのはつらかったですね。現在、岐阜県在住の棋士はいないので、このまま岐阜に住んで地元の普及を頑張りつつ、盤上でも活躍して後輩に背中を示せる棋士になりたいです」
また、高田は藤井二冠と同学年で、出身地も近い。どのように意識しているのかと問われ、こう語っていた。
「小学生の頃、同じ研究会に参加して『強い子だなあ』とは思っていました。今は雲の上の存在ですから、まずはその次に東海で活躍できている棋士になりたいです」
井田新四段は“マラソン研”では断トツに速い
井田新四段の趣味はランニングだが、それが高じて(?)マラソン研なるものに参加しているそうだ。新型コロナの影響でこの1年ほどは休止中だが、久保利明九段、大石直嗣七段、村田顕弘六段との研究会で、将棋を指した後にマラソンをするという。
改めてプロ棋士の体力には驚かされるが、参加者の一人、大石七段にマラソン研について聞いてみた。
「午前10時から午後3~4時くらいまで将棋を指して、その後に大阪城公園で1時間ほど走る会ですね。汗を流した後のビールが美味しいんです(笑)。きっかけは、久保九段がスポーツニッポン主催のナイトマラソンに参加を考えていたそうで、そんな時にたまたま甲子園での野球観戦中、私と村田六段が久保九段に会って、そのまま流れで始まった感じです。もう一人、走れる人間をということで、井田君の名前が挙がりました」
研究会仲間から見た井田新四段の印象については「記録もよく取っていますし、すごくまじめな好青年ですね。もっともマラソンでは『遅いですね』と茶化されたこともありますが(苦笑)。4人の中では断トツで井田君が速いです」と語る。
また大石七段は、森信雄七段の門下で高田新四段の兄弟子に当たる。
「彼が初段の頃から『森研』として糸谷さん、西田君(拓也五段)と4人で研究会をやっていました。当時から右玉はやっていましたが、三段リーグでは右玉だけではと、戦法の幅を広げたようです。森研は元々、私が別の弟弟子と行っていた研究会で、その時のメンバーが奨励会を退会してから今のメンバーになりました。一門の棋士を増やすために奨励会員の弟弟子に参加してもらいたいという面もありました」
これからもより注目を集めるであろう将棋界。新四段としてデビューする2人のますますの活躍を期待したい。
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この記事の筆者・相崎修司さんは文春将棋ムック『読む将棋2021』にも寄稿しています。
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