1ページ目から読む
2/4ページ目

最初の現場は「ドクターにめちゃくちゃ怒られた」

――いきなりこれまで経験したことのない業務に入るんですね。最初に経験したオペはどんなものだったんでしょうか?

まお まず見学させてもらったのは心臓の手術でした。そこで初めて生の心臓をみたんですけど、その時は感動しましたね。なんというか…人間の身体って凄いなって思いました。心臓とかって、「ドクンドクンと動いている」くらいのイメージしか頭になかったんですけど、実際にこんなに力強く動くんだ。本当に生き物みたいな感じで動いているんだな…と思いました。

©️文藝春秋

――実際に現場に出た最初のオペも覚えています?

ADVERTISEMENT

まお 腸の癌の患者さんの手術だったんですけど、それもよく覚えていますね。ドクターにしょっぱなからめちゃくちゃ怒られたんです。先生に器具を取るように言われたんですけど、緊張しすぎてその器具を探すのに必死になっちゃって…。そしたら「ちゃんとわかったなら返事してよ!」と怒られましたね。

――最初でも容赦ない! なかなか怖いですね。

まお でもウチにいた先生は、まだ優しい方かもしれないです。他の病院から来た人に聞くと普通に「死ね」とか言ってくるドクターもいると聞きましたから(笑)。その先生の手術は「公開処刑」って呼ばれていて、モノが飛んでくることもあったらしいです。まぁ先生はそれだけプレッシャーがかかっているんだと思います。

オペ看の仕事は「器械出し」と「外回り」

――まさに戦場なんですね…。オペ看の皆さんは実際に術中、どんな仕事をされるんですか?

まお 大きくわけると仕事は2つあります。1つは、よく医療モノのドラマや映画でやっているような、メスやセッシなどの器具をドクターに渡す「器械出し」と言われる作業。もう1つは「外回り」と言われる作業です。大まかに仕事内容を説明すると「器械出し」以外の部分ですね。患者さんは手術中に喋れないので、体に神経障害が起こっていないか、患部は圧迫されてないか、出血量はどうか…といったことを確認します。だいたいその二手に分かれて、二人一組でつくことが多いですね。

(※写真はイメージ)©️iStock.com

 ちなみに「器械出し」の方が普通の人にはイメージしやすいでしょうし、器具も100種類以上あって確かに簡単ではないんですけど、本当に難しいのは「外回り」の方だと思います。外回りは判断力や経験がすごく必要なので。