最初の現場は「ドクターにめちゃくちゃ怒られた」
――いきなりこれまで経験したことのない業務に入るんですね。最初に経験したオペはどんなものだったんでしょうか?
まお まず見学させてもらったのは心臓の手術でした。そこで初めて生の心臓をみたんですけど、その時は感動しましたね。なんというか…人間の身体って凄いなって思いました。心臓とかって、「ドクンドクンと動いている」くらいのイメージしか頭になかったんですけど、実際にこんなに力強く動くんだ。本当に生き物みたいな感じで動いているんだな…と思いました。
――実際に現場に出た最初のオペも覚えています?
まお 腸の癌の患者さんの手術だったんですけど、それもよく覚えていますね。ドクターにしょっぱなからめちゃくちゃ怒られたんです。先生に器具を取るように言われたんですけど、緊張しすぎてその器具を探すのに必死になっちゃって…。そしたら「ちゃんとわかったなら返事してよ!」と怒られましたね。
――最初でも容赦ない! なかなか怖いですね。
まお でもウチにいた先生は、まだ優しい方かもしれないです。他の病院から来た人に聞くと普通に「死ね」とか言ってくるドクターもいると聞きましたから(笑)。その先生の手術は「公開処刑」って呼ばれていて、モノが飛んでくることもあったらしいです。まぁ先生はそれだけプレッシャーがかかっているんだと思います。
オペ看の仕事は「器械出し」と「外回り」
――まさに戦場なんですね…。オペ看の皆さんは実際に術中、どんな仕事をされるんですか?
まお 大きくわけると仕事は2つあります。1つは、よく医療モノのドラマや映画でやっているような、メスやセッシなどの器具をドクターに渡す「器械出し」と言われる作業。もう1つは「外回り」と言われる作業です。大まかに仕事内容を説明すると「器械出し」以外の部分ですね。患者さんは手術中に喋れないので、体に神経障害が起こっていないか、患部は圧迫されてないか、出血量はどうか…といったことを確認します。だいたいその二手に分かれて、二人一組でつくことが多いですね。
ちなみに「器械出し」の方が普通の人にはイメージしやすいでしょうし、器具も100種類以上あって確かに簡単ではないんですけど、本当に難しいのは「外回り」の方だと思います。外回りは判断力や経験がすごく必要なので。